バイクのエンジンが掛からない理由に、「プラグかぶり」があります。
昨今はインジェクションのバイクが主流になっていますので、プラグがかぶってしまったという経験がある人は少ないかもしれません。
ただ、キャブレターのバイクや、それこそ2サイクルに乗っている人なら、身近なトラブルのひとつです。
とは言え、インジェクションのバイクでもプラグがかぶる事はあります。
ここでは、
などについて解説しています。
バイクの「プラグかぶり」には2種類ある
まず「プラグかぶり」とは、どのような症状なのでしょうか。
バイクのエンジンは、ガソリンと空気の「混合気」を燃焼させることで動いています。
この混合気に火花を飛ばしているのがスパークプラグ(プラグ)です。
イメージとしては、混合気に火をつけるライターのような役割ですね。
このスパークプラグが、ガソリンやオイル、カーボンなどで汚損してしまう(覆われてしまう)のが、いわゆる「プラグかぶり」です。
「かぶる」とは、水を「かぶる」とか、泥を「かぶる」のように表面を覆うとか浴びるの意味です。
プラグかぶりには2つの種類があります。
です。プラグを外せば一目瞭然で、
ガソリンやオイルでの「かぶり」は、プラグを外すと明らかに湿っていたり濡れてしまっています。
一方、カーボンによる汚損は、乾いているのですがススで真っ黒になっている状態。
厳密には、カーボンでの汚損は「プラグのくすぶり」と言いますが、多くの人は両方ともプラグかぶりと呼んでいます。
プラグかぶりが引き起こす症状は?
では、プラグがかぶる事によって、バイクにどのような症状を引き起こすのでしょう。
スパークプラグの役割は、混合気に火花を飛ばすこと。
ただ、プラグがかぶってしまうと、うまく火花が飛ばなくなってしまうため、
と、このような症状が出るという訳です。
プラグがかぶる原因は?
プラグがかぶってしまう原因は色々ありますが、スパークプラグ自体には問題がないことが多いです。
このような事が原因で、プラグにガソリンやオイル、カーボンが付着してしまうのです。
また、エンジンを掛ける時にも良くプラグかぶりは起きます。
エンジンが掛かりにくい時などに、ガソリンを大量に送りこもうとして、チョークを目いっぱい引いて、アクセルをあおって・・・やりすぎると、液体のガソリンがプラグにかかってしまって濡れてしまうと言う事ですね。(これはキャブ特有の原因ですね)
他にも、短時間での走行を繰り返す、気象条件などの環境の変化、などが原因でかぶってしまう事も。
また、複数気筒のバイクで、1気筒だけくすぶっている場合には、プラグに問題があって交換することで解消するケースもあります。
プラグかぶりになる原因は複数あるため、いまいち良くわからないという場合にはショップに相談してみると良いでしょう。
「プラグかぶり」が起きやすいのは2サイクル
一般的には、プラグがかぶりやすいのはキャブレターのバイクで、特に2サイクルが多いと言われています。
前述のとおり、バイクのエンジンはガソリンと空気の混合気を燃焼させることで動いています。
この混合気がうまく燃焼できないと言う事は比較的良くあるのですが、2サイクルエンジンの場合は、構造上さらにオイルも加わって燃焼されています。
そのため、2サイクルの場合は混合気がうまく燃焼されないと、4サイクルよりも余計に濡れやすくなっているという訳です。
最近は2サイクルのバイクに乗っている人は少なくなりましたが、昔は2サイクルに乗る人も多く、常に予備プラグを持っていたものでした。
プラグかぶりの対策と言うわけですね。
もちろん、4サイクルエンジンはかぶらないと言う事ではありません。
インジェクションのバイクでも「プラグかぶり」は起きる
キャブレターのバイクに比べ、インジェクションのバイクは「プラグがかぶりにくい」と言われています。
むしろ、インジェクションはかぶらないと思っている人も多いようです。
確かに、混合気のガソリンと空気がコンピューターで電子制御されているため、かぶりにくいというのは事実でしょう。
ただ、絶対にかぶらないと言う事はありません。
そもそも、インジェクターに問題が出るケースもあります。
また、エアクリーナーの汚れや目詰まり、オイル下がりなどが原因であれば、キャブだろうがインジェクションだろうが燃料供給方式には関係ない原因です。
インジェクションはプラグがかぶる事は少ないが、かぶる事もあると言う事ですね。
プラグがかぶった時の対処法
もし、プラグかぶりが起きた時には、どうしたら良いのでしょう。
結論としては、新品のプラグに交換するのがベストです。
かぶってしまったプラグは、復活する場合もありますが、元の性能を100%取り戻すのは難しいと言われています。
予備プラグを持っていれば、交換するのが一番です。
ただ、交換せずに清掃や乾燥で対応することもできます。
もし、カーボンによる「くすぶり」であれば、掃除をすることで復活することもあります。
掃除の方法としては、真鍮ブラシを使い丁寧にあてていく(ブラシをかけていく)方法です。
真鍮のブラシを使うのは柔らかいため。
ワイヤーブラシなどの硬いものだとプラグが傷だらけになってしまうので、使わないようにしましょう。
ただ、清掃しても復活しない時もあるので、その場合には新品に交換しましょう。
また、ガソリンやオイルで濡れている「かぶり」の場合には、そのまま乾けば問題ないことも多いです。
ただ、一度かぶってしまうと少なからず性能は落ちてしまうことは否めません。それほど気にならなければ、交換しなくても問題はないでしょう。
一度濡れてしまったプラグが乾くにはそれなりに時間が掛かります。
そのため、濡れてしまったプラグを乾かすのに、昔から使われる手法が「ライターであぶる」ことです。
まずウェスなどで綺麗に拭いたうえで、ライターで濡れた部分をあぶり、完全に乾燥させると言う事ですね。
この場合にも、復活しない時にはあきらめて新品に交換しましょう。
また、新品に交換してもすぐにかぶってしまう場合には、根本の原因を改善する必要があります。
原因が良くわからないという時には、ショップに相談してみましょう。
エンジンが掛からないときはセルを回しすぎない
もし、プラグがかぶってしまっていてエンジンが掛からない時には、そのままセルを回し続けてもエンジンは掛かりません。
むしろ、そのままセルを回し続けるとバッテリーが上がってしまう事になりかねません。
セルモーターがきちんと回っていて、クランキングしているのにエンジンが掛からない場合は、プラグがかぶっている可能性もあります。
そのような時は、まずプラグの状態を確認してみると良いでしょう。
まとめ
昔話のようになってしまいますが・・・昔は、プラグかぶりは日常的でした。
それこそ予備プラグや、交換のためのプラグレンチを常備している人がほとんど。
家にはかぶったプラグが溜まっている。
そんな光景は珍しくありませんでした。
最近は、4サイクル中心ですし、インジェクションの性能もどんどん良くなっています。
そのため、プラグがかぶると言う事も少なくはなっているでしょう。
ただ、4サイクルでもインジェクションでも、プラグがかぶる事はありますし、知識として知っておいても損はないと思います。