バイクの修理や整備、メンテナンスをして欲しい時に、バイクショップに持っていきたい事は多いと思います。
ただ、引越しなどでバイクを買ったショップが近くにない場合や、バイクを個人売買で手に入れたケースもあると思います。よく、他のショップで買ったバイクだと修理を断られるという話を聞くことがあります。
そんな「バイクを買ったショップではなくても修理・整備をしてくれるのか」と言う疑問と、「修理・整備をしてくれるショップの見つけ方」を解説しています。
他のお店で買ったバイクの修理は断られるの?
よく、「修理をして欲しくて近所のバイク屋さんに持ち込んだら断られた!」という話を聞くことがあります。
これは本当なのでしょうか?
結論から言うと、今でも修理を断られるケースはたくさんあります。
「今でも」というのは、過去には本当にたくさんあったのですが、最近は少しずつ減ってきているからです。減ってきているのは、現在のバイク業界は決して景気の良い業界ではありませんので、「断ってる場合ではない」というショップが増えてきているからでしょう。
とはいえ、今でも他店で購入したバイクの修理を断わられてしまうケースは少なくありません。大手ではレッドバロンも他店のバイクは断ることが多いようです。
なぜ、バイクショップは売上になるはずなのに断るのでしょうか。その理由や他店購入のバイクでも修理をしてくれるショップの見つけ方を解説していきましょう。
修理と整備では全然違う
まず前提として、「修理」と「整備」では全く状況が異なります。
例えばオイル交換や、タイヤ交換、車検と言ったいわゆる「整備・メンテナンス」においては、他のショップで買ったバイクでも喜んで作業をしてくれるショップは非常に多いです。(それでも断るショップはありますが)
対して、エンジンが掛からない、オイル漏れが激しいなど、いわゆる「修理」になると急に断るショップが増えてきます。
オイル交換や車検なら、自分のお店の作業状況に問題が無ければ、他のお店のバイクでも受ける事は容易です。(困難なケースもありますが)
一方、修理の場合は、何が原因なのかを明確にしない限りは直す事ができません。例えば、エンジンが掛からないという症状に対して、キャブレターの不具合なのか、セルモーターの不調なのか、それとも他の問題なのか・・・。
原因を明確にするのに、時間と手間が掛かり、直すのにどれくらいの時間と費用が掛かるかがわからない。
「いくらくらいで直りますか?」と聞かれても原因がわからないのに、答える事はできないのです。
また、ヤフオクなどの個人売買で購入したバイクや、他のショップで買ったバイクの場合には、思わぬ不具合や一般的には考えられない「いじり方」をされているリスクもあります。こうなってくると、修理を受けることがトラブルにもなりかねないのです。
修理と整備・メンテンスでは全く状況が異なると言う訳です。
バイクショップが修理を断る理由は?
では、バイクショップが他のショップで買ったバイクの修理を断る理由は何故でしょうか?一概に「これです!」とひとつに絞る事はできませんが、たくさんの理由があり、いずれかに該当する場合がほとんどです。
ショップにも、色々と事情があって、単純に断っているという訳ではないのです。
忙しくて手が回らない
修理の場合には先ほども述べたように、原因が何なのかを調べるには時間が掛かります。ひとり(または少人数)で経営しているような小規模のショップの場合には、どれくらい時間が掛かるかわからない修理を受けるのは難しい事も多いです。その間、既存の常連客の作業が滞ってしまうからです。
いわゆるキャパオーバーになってしまうという状況です。
実は、大手チェーン店でも同じような状況はたくさんあります。大手=スタッフが多いと思われがちですが、実は1店舗あたりの人数は数人しかいないショップも多いのです。
そのため、大手でも自分のお店で買ってくれたお客さん以外の場合には、修理は断られてしまう事は多いのです。
作業が売り上げにならないリスクがある
例えば、調子が悪いから修理して欲しいとお願いされたとします。
実際に丸一日掛けて原因を調べたら、エンジンのオーバーホールをしなくてはきちんと直らない事がわかりました。20万円以上はかかるとお客さんに告げたら「そんなに掛かるなら直さなくて良いです」と言われてしまうような事も少なくありません。
「だったら、丸一日の作業工賃を下さい」とはショップはなかなか言いずらいものです。(凄く真っ当な話なのですが)
結局、修理においては「修理見積りに割く時間や手間が無駄になる」事が多く、初めてのお客さんや他のお店で買ったバイクの場合には、その可能性が高くなると言う訳です。
普通ではない「いじり方」をされている
特に、ヤフオクなど個人売買で購入したバイクに多いケースですが、簡単な修理のはずなのに、前のオーナー(ショップ)が独自のカスタムや修理をしているため、通常以上に手間が掛かる場合もあります。
例えば、ウインカーが付かないから直してほしいと頼まれたとしましょう。
良く見てみると、配線がぐちゃぐちゃで一から配線を引きなおす必要があり、それなりの修理費用が掛かってしまった。
そうなると、状況がわからない新規のお客さんの場合には「あのショップはウインカー直すだけで数万円も取る、工賃が高い」と言うような人も居るのです。
本来は適正な工賃なはずで、困っているから直したのに、悪く言われるようなトラブルの種になりかねないという事です。
要は今までの修理・整備の履歴、素性がわからないバイクはリスクが大きいのです。
良く、修理をお願いしたときに「どこで買ったの」とショップが聞くのはこれが理由です。「ヤフオクで買いました」と「ホンダドリームで買いました」では、大きな違いなのです。
設備や部品供給が理由
本当は直してあげたいけど、できないというケースもあります。
最近の新型バイクの場合には、故障原因のチェックには特殊な診断機が必要なバイクも増えてきています。また、輸入車などの場合は顕著ですが、部品やパーツの供給(取り寄せ)が難しいケースもあります。
このような専用のコンピューター診断機や部品の供給は、そのメーカーとの取引契約が必要なケースもあり、全てのショップが対応できるわけではありません。
そのため、修理してあげたいけど、現実的にはディーラーやメーカーの正規取引店でないと難しいケースもあるのです。
もちろん、修理内容や車種によるため、全てが該当するわけではありません
違法改造がしてある場合
これも結構多いケースですが、車検に通らないようなバイクの場合には修理どころか整備やメンテナンスも断るショップは多いです。
特にディーラーやメーカーとの正規取扱店は、車検不適合のパーツを付けたり、または修理をしたり、カスタムをすることは難しいです。
車検不適合=違法 と言うと厳しく感じるかもしれませんが、このようなバイクの場合には受けてもらえない事も多いです。
買ったお店との関係
これは少ないケースですが、バイクを買ったショップが近所のショップだったりすると、そのショップとの関係を気にかけて断るケースもあります。
バイクの業界は意外と狭く、横のつながりも結構あるものです。前の(バイクを買った)ショップが近隣の場合には、お客さんを取った取られたというようなトラブルになるのを避けたい場合もあります。
NAPSや2りんかんで修理はできる?
修理をお願いしたいショップが近くにない場合には、大手用品店のNAPSや2りんかんでも、バイクの修理を受けてくれます。
最近は、NAPSや2りんかんをはじめ、南海部品、ライコランドなどのいわゆる大手の用品店でもピットサービスが非常に充実してきています。オイル交換やタイヤ交換では利用したことがある人も多いのではないでしょうか。
最近では、対応メニューも充実してきていますので、修理にも対応するようになっています。
しかしながら、例えば「フロントフォークのオイルが漏れているから、オイルとシールを好感して欲しい」とか「ブレーキパッドが減ってきたから交換して欲しい」など、作業が明確になるものが中心です。
「原因が良くわからないけど、スピードが出ない」「乗っていると急にエンストしてしまう」など、こういった修理にはバイクショップの方が秀でている事は否めないでしょう。
修理してくれるバイクショップの見つけ方
それでは、他のお店で買ったバイクでも修理してくれるショップを探すにはどうしたら良いのでしょうか?
一番良いのは、友人や知人に紹介してもらう事です。実際にバイクに乗っている人が通っているショップであれば、技術面でも信用できます。紹介であれば、ショップとしても完全な一見客と違い、安心して作業ができます。
もちろん、車種や作業内容によっては難しいケースもありますが、確実な方法のひとつでしょう。
また、紹介してもらえる人やショップが無い場合には、グーバイクのアフター検索サービスが便利です。
グーバイクは、バイクの検索サイトとして有名なサービスですが、2018年の秋に「整備や修理をしてくれるお店」を探せるサービスを始めています。
作業内容や乗っているバイクのメーカー、地域で絞込ができて、「他のショップで買ったバイクでも作業してくれる」ショップが検索できるようになっています。
オイル交換や車検などであれば、非常に多くのショップが出てきますし、断られやすい「修理」も対応してくれるショップを探すことができます。
修理で困ったときには、近隣で対応してくれるショップを探してみてはいかがでしょうか。
まとめ:バイクショップとの繋がりがあると便利
バイクショップの肩を持つわけではありませんが、本当は修理してあげたいという気持ちはあるお店が多いのです。ただ、他のショップで買ったバイクの修理を断るのには、それなりの理由がある事は理解してもらえると嬉しいです。
最近は、バイクを通販で買ったり、個人売買で買ったりすることが当たり前になってきました。もちろん、時代の流れでもあるので悪い事ではありません。
また、このような背景の中で、他店購入のバイクでも積極的に対応するショップが増えてきているのも事実です。
前述のとおり、修理の場合には直す前にバイクを見てみる必要があります。その原因を把握するにも時間と手間が掛かるという事を理解してもらえると、ショップ側もありがたいのです。
なにか困った事が起きた時に、バイク屋さんと言うのは非常に頼りになるものです。
修理してくれるショップが見つかった時には、是非良い関係を築いてほしいと思います
行きつけのショップがあると、また一つバイクが楽しくなるのではないでしょうか。