バイクの魅力は色々ありますが、時には友人や家族、彼女を後ろに乗せてタンデムをするという事も醍醐味のひとつでしょう。
では、バイクの二人乗りは、誰でもどこでもできるのでしょうか。
結論からいうと、バイクの二人乗りをするには、免許取得からの年数や、バイクの排気量などの決まりもあります。また、高速道路には独自の二人乗りの規則があります。
ここでは、バイクの二人乗り(タンデム)をすることができる条件やルール、注意すべきことをまとめています。
バイクの二人乗りが可能な条件
まず、バイクの二人乗りは、誰でもできる訳ではありません。バイクの二人乗りに関しては、きちんと道路交通法によりルールが定められています。
二人乗りをするには、いくつかの条件がありますので、ひとつずつ解説していきましょう。
まずは、一般道を二人乗りする時の条件です。
排気量が51cc以上のバイクである事
二人乗りが可能なのは、バイクの排気量が51㏄以上である事が必要です。そのため、いわゆる原付1種のバイクでは二人乗りが不可能です。
原付でも、いわゆる黄色ナンバーやピンクナンバーの原付2種(51㏄~125㏄まで)であれば問題ありません。
免許取得から1年以上である事(一般道)
二人乗りをするには、運転者が二輪免許を取得してからの経験年数の制限もあります。
二輪免許取得後、1年間は初心運転者期間に該当し、1年以上経過していない場合には後ろに人を乗せて運転することはできません。(一般道の場合)
なお、ここでいう二輪免許は大型自動二輪免許、普通自動二輪免許、小型限定免許が該当します。
また、高速道路を二人乗りする場合には、条件が変わってきますので、次の項にて説明します。
高速道路を二人乗りする時の条件
もともとは、高速道路はバイクの二人乗りが全面的に禁止でした。
しかしながら、2005年の改正道路交通法の施行に伴い、一部の区間を除き高速道路の二人乗りが可能になっています。
また、高速道路を二人乗りする場合には、一般道の時とは条件が異なりますので注意が必要です。
免許取得から3年以上である事
高速道路の二人乗りは、運転者が免許取得後3年以上経過している事が必要です。
なお、この3年が大型二輪免許、普通二輪免許、小型限定二輪免許の通算期間で問題ありません。
運転者が20歳以上であること
免許取得から3年以上経過していても、運転者の年齢が20歳未満の場合には、高速道路の二人乗りは禁止されています。
首都高速は二人乗り禁止エリアがある
首都高速道路の場合、高速道路の二人乗りの条件を満たしていても、二人乗りが規制されている区間がありますので、注意が必要です。
東京都、特に都心を良くバイクで走行する人は事前に確認しておきましょう。
具体的な規制箇所は、警視庁のホームページで確認ができます。
なお、側車付きの自動二輪車(サイドカー)は、規制の対象外になっています。
違反した時の罰則と罰金
ここまで、バイクの二人乗りの条件に付いて解説してきましたが、これらは全て「道路交通法(第七十一条の四)」にて定められています。
では、違反した時にはどうなるのでしょうか?
仮に、違反した場合には、大型自動二輪車等乗車方法違反にあたり、
違反点数2点、反則金12,000円
となります。
もちろん、点数や反則金も痛いですが、やはり危険である事が一番の問題です。
バイクの場合には、転倒時にケガをする可能性も非常に高く、二人乗りにはある程度の運転技術が必要になってきますので、必ずルールは守る様にしましょう。
バイクの二人乗りで子供を乗せても大丈夫?
たまに、バイクの後ろに子供を乗せている人を目にする事があります。
子供を乗せることは、問題ないのでしょうか?
バイクの二人乗りに関しては、同乗者(後ろに乗る人)に関して年齢制限はありません。
そのため、法律上は子供を後ろに乗せることは問題ありません。
しかしながら、だからと言って園児を乗せたり、きちんとした準備がないまま子供を後ろに乗せるのは非常に危険です。
せめて小学生くらいからが妥当ですし、タンデムのベルトや安全な子供用のヘルメットなど、しっかりとした準備をしたうえで二人乗りをするべきでしょう。
ましてや、二人乗りに慣れていない子供を乗せての高速道路などは避けるべきでしょう。
※子供とのタンデムに関しては、以下の記事も参考にしてみてください
二人乗りをするときに注意する事
万が一の時の保険は大丈夫か
もちろん、二人乗りの場合には、普段以上に気を付けて運転をすると思います。
しかしながら、万が一の時の想定はしておく必要があります。
同乗者がケガをした場合には、自賠責保険のほか、「人身傷害補償保険」「搭乗者傷害保険」からの補償になります。
また、同乗者が家族(父母,配偶者,子等)以外の場合には、「対人賠償保険」の補償も可能です。
自賠責保険は当たり前ですが、任意保険の加入や、補償条件などもしっかりと考えておく必要があります。
二人乗りの運転に慣れているか
バイクに乗る人であれば、言うまでもない話かもしれませんが、後ろに人を乗せることで運転に様々な影響が出ます。
普段と異なる運転が必要になる事は言うまでもありません
仮に60㎏の人を後ろに乗せれば、その分重くなりますので、パワーが必要になります。
発進時にはいつもより高回転でクラッチを繋いだり、停止時の制動距離、カーブ時の体重移動など、普段とは異なる事は認識しておく必要があります。
普段、タンデムに慣れている場合はともかく、初めてのタンデムなどの場合には、いきなりの長距離やカーブのきつい道路は避けるべきでしょう。
同乗者の服装やヘルメットは大丈夫か
当然、後ろに乗せる人もヘルメットの着用は必要です。
良く、その場しのぎのブカブカなメットや、半キャップのようなメットで二人乗りをしているケースも見かけますが、非常に危険です。
しっかりと安全規格をパスしたヘルメット、サイズのあったヘルメットの着用をしてもらうようにしましょう。
また、服装に関しても同様です。最低でも長袖・長ズボンなど、危険のない格好でのタンデムをしましょう。
コミュニケーションは取れるか
バイクの場合、同乗者との走行中のコミュニケーションが難しい乗り物です。
何かあった際や、トイレに行きたい時の合図などのコミュニケーション方法を決めておくと良いでしょう。
また、昨今増えてきている、インカムなどは非常に効果的です。
同乗者の意向は問題ないか
彼女を後ろに乗せたい、子供を乗せたいという気持ちは非常にわかります。
傍から見ても、バイクのタンデムは非常に絵になると思います。
しかしながら、もし、本人が乗りたくないのであれば、無理に乗せるのは避けるべきです。
後ろに乗るのが怖い、セットした髪型が崩れてしまうなど、バイクに乗るような服装ではない、など理由は様々ですが、同乗者が嫌がっているのに無理やり乗せる事のないようにしましょう。
まとめ:二人乗りを楽しむには安全運転が必須
いかがだったでしょうか。
道路交通法の規則上は
①51㏄以上のバイクである事
②二輪免許取得後1年以上経過している事
③高速道路の二人乗りは、二輪免許取得後3年以上経過している事。且つ運転者は20歳以上である事
が二人乗りをする事ができる条件です。
二人乗りは、バイクの醍醐味のひとつである事は間違いありません。
しかしながら、安全運転をすることが大前提です。
彼女や奥さん、また子供などを乗せる時には、大事な命が自分の運転にかかっているという認識は大事です。
楽しいタンデムで、「また乗りたい!」と言ってもらうために、ルールを守って安全運転を努めましょう。