バイクの調子が悪くなる原因に「圧縮抜け(圧縮漏れ)」と言うものがあります。
これは、燃料であるガソリンと空気の混合気が、充分に圧縮されない不具合のこと。
圧縮抜け(漏れ)が起こると、エンジンが始動できなかったり、また、エンジンがかかっても調子が悪く感じる事が多いでしょう。
そのため、ここでは
などについて、できるだけわかりやすく解説しています。
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バイクのエンジンの圧縮抜け(圧縮漏れ)とは?
圧縮抜け(圧縮漏れ)とは、エンジンの圧縮過程において、燃料であるガソリンと空気の混合気が充分に圧縮されない不具合のこと。
通常、バイクのエンジンは「吸気→圧縮→爆発→排気」の工程を繰り返しながら動力を生み出しています。(4サイクルエンジンの場合)
この圧縮工程では、燃料であるガソリンと空気の「混合気」を圧縮して、燃えやすくしているのと同時に爆発力を上げていると言うわけです。
ただ、何かしらの理由で、圧力がかからない(弱くなっている)状態になってしまうのが「圧縮抜け(圧縮漏れ)」と言うわけですね。
一般的には
と表現する事が多いです。
ただ、どちらも圧縮圧力の不具合と言う点では一緒ですね。
圧縮抜け(漏れ)が起きた時の症状
では、バイクの圧縮が抜けたり、漏れたりすると、具体的にどのような症状が出るのでしょうか。
主な症状としては、
と言うような症状が出ると言えるでしょう。
まず、圧縮抜けが重度の場合には、そもそもエンジンがかからないというケースも。
一方で、軽微な場合にはエンジン始動は普通にできるケースも多いです。
ただ、高回転域でパワーが出なかったり、マフラーから白煙を吹いたり、アイドリングが落ち着かなかったり・・・それからオーバーヒートの原因にもなります。
これらの症状が出る場合、原因は色々あるのですが、圧縮漏れが原因かも知れないという事は知っておくと良いでしょう。
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圧縮漏れ(抜け)の判断方法は?
前述の通り、圧縮漏れ(抜け)の症状が出ても、他の原因で起きているというケースもあります。
では、圧縮漏れ(抜け)を正確に判断するにはどうしたら良いのでしょうか。
通常、バイクの圧縮漏れを判断するには「コンプレッションゲージ」を使います。
コンプレッションゲージは、シリンダー内の圧縮圧力を測定する専用機器。
プラグの位置にアダプターを差し込んで使用するタイプが一般的ですね。
詳しい使用方法は割愛しますが、自分で挑戦してみたい人は購入してみても良いかも知れません。
もちろん、バイクショップなら持っているのが当然なので、ショップで見てもらえば確実でしょう。
また、キックスタートが付いているバイクであれば、「重度の圧縮抜け」は判断できます。
キックでクランキングしたときに、圧縮が抜けていればスカスカになっているからですね。
ただ、軽度の圧縮漏れの場合には、キックでも判断は難しいと言えます。
やはり、正確に判断するにはコンプレッションゲージを使う必要があるでしょう。
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圧縮抜け(圧縮漏れ)が起きる原因
そもそも、圧縮漏れ(抜け)はどうして起きるのでしょうか。
通常、エンジンのシリンダー内に混合気が吸気され、その後、ピストンの上昇によって圧縮されますよね。
つまり、ピストンが上昇する時に「なにかしらの隙間」があると、圧力が逃げてしまうという事です。
具体的には、
などが主な原因として考えられるでしょう。
圧縮漏れ(抜け)の原因で特に多いのは、吸排気バルブの隙間と、シリンダーとピストン(リング)の隙間と言えると思います。
まず、混合気が圧縮される時は、吸排気のバルブがしっかりと密着して、隙間を埋めている必要があります。
ただ、バルブの摩耗やカーボン(ゴミ)の蓄積によって、隙間が生じてしまう事があると言うわけです。
また、バルブは常に開閉を繰り返していますが、開いたり閉じたりするタイミングが狂ってしまう事でも圧縮圧力の低下に繋がります。
もうひとつが、ピストンとシリンダーの隙間。
混合気は、ピストンが上昇することで圧縮されます。
通常、シリンダーとピストンの間には、わずかなクリアランス(隙間)がありますが、ピストンリングやオイルが密封の役割を担っています。
ただ、ピストンやシリンダー、ピストンリングの摩耗や不具合によって、隙間が大きくなると圧力が逃げてしまうという事ですね。
それから、あまり多くはありませんが、シリンダーヘッドが緩んでいたりガスケットが破損している事でも圧縮抜けは起きます。
ただ、この場合には、オイル漏れも起こすことが多いので、すぐに気付くと思います。
最後に、プラグの緩み。
スパークプラグを交換した(点検した)時に、プラグが緩んでいることが原因で圧縮漏れが起きる事も。
この場合には、プラグを締め直せば解決するでしょう。
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バイクの圧縮抜け(漏れ)の修理方法は?
バイクの圧縮抜け(漏れ)を修理するには、エンジンのオーバーホールが必要になる事が一般的。
前述の通り、吸排気バルブやピストン(ピストンリング)、シリンダーに問題があるケースが非常に多いので、エンジンを開ける必要があるというわけですね。
ただ、基本的に、エンジンオーバーホールには高額の修理費用が掛かってしまいます。
そのため、バイクショップでしっかりと相談をしたうえで、修理依頼をすることをおススメします。
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