バイクにはABSというブレーキの機能があります。
このABSはアンチロック・ブレーキシステムと言い、ひとことで言うとブレーキでタイヤがロックするのを制御してくれる仕組みです。
最近のバイクであればABSが標準装備されていますが、少し前のバイクであれば「ABS付き」と「ABS無し」の仕様があるバイクもあります。
そうなると、購入する時にはABS付きのバイクを選ぶべきか悩む人も居るでしょう。
そのため、ここでは
など、バイクのABSについて解説しています。
バイクのABSとは何?
ABSとは、冒頭に触れたとおり「アンチロック・ブレーキシステム(Anti-lock Brake System)」の略です。
バイクは急ブレーキなどをした時に、タイヤがロックしてしまう事があります。
タイヤがロックするとは、バイクが停止してないのに、ブレーキがタイヤの回転を完全に止めてしまうこと。
タイヤがロックしてしまうと、
という状況に陥ります。
こうなると、非常に危険なのは言うまでもありませんし、バイクなら転倒してしまう可能性もかなり高くなります。
ABSは、このようなタイヤのロックを、センサーで感知して防いでくれると言うわけですね。
ABSの仕組みと効果って?
ABSの直接の効果は「タイヤのロックを防ぐ」と言う事です。
バイクの場合、ABS搭載車であれば前後のホイールにセンサーが付いています。
このセンサーがブレーキの状態を常に感知していて、危険な状態になるとコントロールをしてくれると言うわけです。
具体的には、走行中に急ブレーキを掛けた時に、
このような制御を、ABSが「自動的に且つ超高速で」行う事で、タイヤがロックしないように制御してくれると言う事ですね。
慌てて急ブレーキをガッと掛けてしまうと、タイヤがロックしてバランスを崩し、転倒してしまうのは良くあるケースです。
ABSがあればタイヤがロックしないので、
と言う効果があると言う事です。
もちろん、絶対転倒しないと言うわけではありませんが、ABSがある事で転倒のリスクは減らせるでしょう。
下記の動画では、濡れた路面で実験をしていますが、ABSの有無でかなりの違いが出るのが一目瞭然です。
バイクのABS装着は義務化された
非常に安全性の高いABSですが、法律でバイクへの装着が義務化されました。
二輪自動車、側車付二輪自動車及び三輪自動車(最高速度 25km/h 以下の自動車及び第6項の自動車を除く。)には、協定規則第 78 号の技術的な要件(同規則第4改訂版の規則 5.及び 6.に限る。)に適合する制動装置を備えなければならない。
引用:道路運送車両の保安基準の細目を定める告示第15条4項
少しわかりにくいですが、「協定規則第 78 号の技術的な要件」と言うのがABSの事です。
具体的には、
となっています。
継続生産車とは、この発表以前から製造し続けているバイクの事ですね。
そのため、これから販売される新型モデルは全部ABSかCBSが標準装備になっていると言う事です。
もちろん、今乗っているバイクにABSが付いていなくても、乗り続ける事ができるので安心してください。
この義務化は、バイクを作るメーカー向けの制度と思っておいて問題ありません。
CBSって何?
今までABSの話をしてきましたが、急にCBSと言う単語が出てきました。
CBSにも少し触れておきましょう。
CBSとはコンバインドブレーキシステムのこと。
例えば、後輪のブレーキだけを掛けた時に、CBSが働いて前輪にもバランスよく制動力を掛けてくれる仕組み。
コンバインド(Combined)は「結びついた」という意味ですね。
逆に、前輪ブレーキを掛けた時に後輪に作用するCBSや、両方作用するCBSもあり、これはバイクの特徴に合わせていずれかを採用しています。
ABSもCBSも安全性向上のためのブレーキの仕組みと言うわけですね。
バイクにABSは必要?いらない?
新型でABS標準装備のバイクを買う場合には、悩む必要もありませんが、少し前のモデルならABS付きとABS無しのモデルがあります。
では、バイクにABSは必要なのでしょうか?
結論としては、できる事ならABS付きを選んだ方が良いでしょう。
もちろん、バイクに乗っていて、タイヤがロックするようなケースには巡り合わない人も居るでしょう。
とは言え、いつ何が起こるかはわかりません。
このような事で急ブレーキをかけるケースは少なくありません。
また、急ブレーキだけでなく、濡れた路面や凍結路、砂利道などでもABSが働くことがあります。
万が一のときに、ABSのおかげで転倒を防げることは多いでしょう。
そのため、迷っているのであれば、ABS付きのモデルを選ぶことをおススメします。
ABSにもデメリットはある
では、ABSにはデメリットは無いのでしょうか。
敢えてあげるとすれば
と言う事でしょう。
とは言え、そう簡単に壊れるものではありませんし、目に見えて車重が重くなると感じる事もないでしょう。
価格面としては、新車の時点ではABS付きのモデルはABSなしのモデルよりも、だいたい5万円程高い設定である事が多いです。
ただ、中古バイクであれば、ここまでの差は感じないでしょう。
車両の状態や年式、走行距離によっては、同じ車種でもABS付きのモデルの方が安いというケースもあり得ます。
総合的に見れば、ABS付きで安全性がグッと上がるメリットに比べたら、デメリットは少ないと言えます。
ABSは後付けできる?
ABSの事を知ると、非常に便利で安全性が高いために、後からABSが欲しくなる人も多いと思います。
ただ、基本的にはABSの後付けは不可能と思った方が良いでしょう。
厳密に言えば、車種によっては可能とも言えます。
ABSの設定がある車種で、ABSのセンサーやコンピューター、それからブレーキディスクなどの装備を丸ごと付け替えて設定すれば良いと言う事になります。
ただ、莫大な費用も掛かりますし、自分で行うということは現実的ではありません。
場合によっては、ABS付きのバイクに乗り換えた方が得と言うケースもあります。
どうしてもやりたいと言う場合には、一度ショップに相談してみると良いでしょう。
ABSの後付けキットってどうなの?
汎用のABS後付けキットが販売されている事もあります。
ただ、これらの後付けキットは、急ブレーキの時に油圧を逃がすだけのものです。
センサーでブレーキの状況を感知して、電子制御している本来のABSとは別物と思った方が良いでしょう。
まとめ
安全面で考えると、ABSは非常に便利な機能です。
とは言え、ABSがあれば絶対安心と言う事ではありません。
ABSが付いているバイクでも転倒することはありますし、あまりABSを過信しすぎる事は良くないでしょう。
万が一の時に、ABSがあって良かったと思う事はあるかもしれませんが、一番は普段から安全運転を心がける事が重要です。