中古のバイクを購入する時に、バイクショップのプライスカードやグーバイクなどの検索サイトで「修復歴」の有無が表示されていることがあります。
しかしながら、この修復歴について間違った認識をしていたり、良く知らない人も多いのではないでしょうか?
もちろん「修復歴が無いバイク」を選ぶ方がほとんどだとは思いますが、実は事故を起こしたバイクでも修復歴が「無し」のバイクはたくさん存在しているのです。
なぜこのような事が起こるのか、中古バイク業界の事情をもとに「バイクの修復歴と事故歴の違い」や「購入時の注意点」、「事故車の見分け方」について詳しく解説しています。
せっかく買うバイクですから、失敗しないように参考になれば幸いです。
そもそもバイクの修復歴って何?
まず、「修復歴」という言葉自体が、一般の人にとってはあまり馴染みのない言葉ではないでしょうか。
バイクの場合、社団法人自動車公正取引協議会の二輪自動車公正競争規約集の第 12 条に中古車の必要な表示事項を定めています。そのなかの「中古車に関する施行規則」として、 メインフレームの修正及び交換歴(以下「フレームの修復歴」という。)の有無について記載があります。
第 7 条 規約第 12 条第 1 項第 9 号の「メインフレーム」には、ハンドルストッパー、シートレール等を含むものとする。
出典:一般社団法人自動車公正取引協議会
第 8 条 規約第 12 条第 1 項第 9 号の「フレームの修復歴の有無」(同条第2項及び第3項の規定により表示する場合を含む。)は、販売する中古車にフレームの修復歴がある場合には「有」と表示するとともにその内容を明示するものとし、フレームの修復歴がない場合は「無」と表示するものとする。
要は、「メインフレーム、ハンドルストッパー、シートレールに修正・交換を施したバイクはフレーム修復歴が有りのバイクになる」という事です。
ちなみに、国内最大級の中古バイク情報を掲載している「グーバイク」でも、「修復歴マーク」は「メインフレームの修正・交換歴の有無を表示」としています。
ひとつの大きなポイントがフレームの修復歴であるという事です。つまり、外装などの修復歴ではないことは認識しておく必要があります。
修復歴と事故歴は違う
修復歴について非常に重要なポイントは「メインフレーム、ハンドルストッパー、シートレール」に限定している修正(修復)だという事です。
具体的な事例をいくつかあげてみましょう。
というようになります。
つまり、走行中に事故を起こし、タンクやカウルを修理・交換したとしてもフレームやハンドルストッパー、シートレール修正を行わなければ、中古バイクのプライスカード等の表示上は修復歴有りにはならないという事です。
ただ、事故は起こしているので事故歴はあるバイクである事に間違いはありません。
そのために「事故歴あり=修復歴ありではない」という現象が発生するのです。事故歴は修復歴の有無では判断できないのが現状です。
ただ、事故歴のあるバイクは必ずしも修復歴有りではありませんが「修復歴のあるバイクは、ほぼ事故歴がある」と思っても良いでしょう。
メインフレームやハンドルストッパーに修復が必要な状態になるという事は、それなりの衝撃がバイク車体に加わる必要があります。
単純な立ちゴケ程度では、フレームにダメージが加わる事は考えられないのです。
そのため、【修復歴有=車体に相応の衝撃があった=事故をしている可能性がかなり高い】と言えます。
カスタムでも修復歴ありになる場合がある
「修復歴有りのバイクは、事故をしている可能性がかなり高い」というお話をしましたが例外もあります。そのひとつがバイクのカスタムです。
修復歴においては、メインフレームに加え、ハンドルストッパーやシートレールも該当の対象になっています。チョッパーやボバースタイルなどで見られますが、シートレールをチョップ(カット)しているカスタムがあります。
これも、シートレールに加工を施しているという意味では修復歴有りに該当します。
参考までに、中古バイクサイトで有名なグーバイクでも、このようなカスタム車両が修復歴有のバイクとして掲載されています。
また、フレームを丸ごと交換してしまった場合も修復歴有になります。
事故歴のあるバイクの見分け方
修復歴の有無では事故車なのかが判断できないとなると、どうやって事故車を見分ければ良いのでしょうか?バイクに精通していないとなかなか難しいかも知れませんが、主なチェックポイントは以下の点です。
ハンドルストッパーに折れ、欠け、修復の跡がないか
ハンドルストッパーは、ハンドルの切れ角を制限して、ハンドルがタンクなどに当たらないようにしています。仮に事故や転倒で大きな衝撃が加わると、折れたり欠けたりする部分です。
ストッパーに破損がないか、また、修復された跡がないかはチェックポイントになります。破損や修復の跡が見られれば、それなりの衝撃があった可能性は非常に高いです。
ハンドルのずれがないかどうか
左右同じようにハンドルが切れるか、正面や横、後ろから見て不自然な傾きがないかチェックしましょう。事故・転倒で曲がりやすいのがハンドルです。
カウルの合わせにずれがないか
バイクのカウルは、転倒などによって傷が付きやすい場所のひとつです。新品に交換してしまうと、パッと見は全くわからなくなってしまうのですが、対処してもカウルの受けや留め具がズレてしまっている場合があります。カウルの合わせ部分に不自然なズレや隙間がないかもチェックポイントです。
マフラーに傷がないかどうか
マフラーも事故で傷が付きやすい場所のひとつです。走行中に転倒すると、擦り傷が付きやすいのでチェックするには良いポイントです。
グリップエンド、ステップのエンドが削れていないか
マフラー同様に、ハンドルのグリップエンドや、ステップのエンドも走行中の転倒で傷が付きやすい場所です。ここが削れている場合は、走行中の転倒の可能性が高いです。ただ、グリップエンドの場合には立ちゴケでも傷が付きやすい場所になりますので、どのような傷の付き方をしているかもチェックしましょう。
塗装に不自然なムラやひび割れがないか
外装に関しては新品交換をされると、なかなか判別は難しい場所です。しかしながら、塗装の場合には不自然さが出る場合があります。明らかに一部分だけ色味が不自然だったり、特定の部分だけ色味が異なる場合は、再塗装や交換された可能性があります。また、内側がチェックできるのであれば内側の塗装を見てみるのも判断材料になります。
フロントフォークのねじれがないかどうか
このふたつは目視で判断するのも良いですが、可能であれば試乗できるとわかりやすいです。フォークにねじれが発生していると直進していても左右どちらかに傾いて行く事が多いです。要はまっすぐ走らないという事になります。ねじれの原因も事故や転倒の可能性が高いです。
まとめ:最終的には信頼できるショップで購入するべき
事故歴と修復歴の違いや、事故歴の見分け方についての解説させていただきました。
中古バイクを購入する際には、事故歴や修復歴はとても重要なチェックポイントではあると思います。
しかし、中には事故車をあたかも無事故車のように見せて販売するような、悪徳な業者も存在するのが実情です。
現実的には、複数のオーナーを渡り歩いたバイクの場合は、一般の人が事故車かどうかの履歴を追う事は困難な状況です。ヤフオク等に出ているバイクにおいては、もはやギャンブルに近いです。
では、どうすれば良いのでしょうか?
結局のところは、しっかりと判別できる「プロ」の目と技術を持った、信頼できるショップで購入する事が一番安心だと言えるでしょう。
本当に腕のあるメカニックや経験のあるスタッフがいるショップであれば、そのバイクが事故をしているのかどうかを確実に見分ける事が可能です。
バイクを買う時のショップの見分け方に関しての記事もまとめていますので、良かったら参考にしてみてください。