「バイクって危なくないですか?」
バイクに乗っていると、ちょくちょく聞かれることですよね。
確かに、車と違ってバイクは全身剥き出しで走っています。なので、事故に遭ったらケガをする可能性は高いとは思います。
ただ、本当に危ないのでしょうか・・・?
簡単に「バイク=危ない」と決めつけるのはどうなのかという疑問があるのも事実。
そのため、ここでは、バイクの事故率を調べてみて、色々と分析&考察してみたわけです。
バイクの事故率はどれくらい?
まず、「危ない」というのは、何をもって「危ない」と言うか。
基本的なところですが、考察するにあたっては非常に重要なポイントです。
一般的には、
で判断するのが適切でしょう。
また、単純にバイクだけの数字では判断できないので、やはり「比較対象」が必要なわけです。
比較対象にするのは、「車(4輪)」が適切なのは、異論がないのではないでしょうか。
車と比べて危ないのかどうかと言うことですね。
そのため、色々なデータを調べてみると警察庁交通局が「交通事故の発生状況」と言うデータを公開していました。
参考≫政府統計の総合窓口
正確なバイクの事故発生率はわからなかった
バイクに乗っている人が、どれくらい事故に遭っているのか(起こしているのか)。
つまり、バイクの「事故発生率」。
このデータは残念ながら公表されておらず、よくわからないという残念な結果に。
もちろん、警察庁以外のデータも探してみたものの、出てきません。
つまり、「バイクに乗っていて事故にあう確率」は正確には分かりませんでした。
ただ、全体の交通事故発生件数(平成30年)は43万601件。
1日あたり1,180件の交通事故が発生している件数ですね。
車もバイクも自転車も歩行者も・・・すべての合算件数しか出ていないと言うわけです。
◆交通事故の発生件数(平成30年中)
発生件数 | 構成率 | |
死亡事故 | 3,449件 | 0.8% |
重傷事故 | 32,726件 | 7.6% |
軽傷事故 | 394,426件 | 91.6% |
合計 | 430,601件 | 100.0% |
交通事故の状態別の死傷者数
「バイクだけの事故発生率」がわからない代わりに「交通事故の状態別の死傷者数」というデータがあります。
これは、車の乗車中なのか、バイクの乗車中なのか、それとも自転車か歩行中か・・・というように「事故に遭った時の状況別」の数字。
自転車と歩行者を省略して、車、自動二輪車、原付だけを抜粋した数字が以下の通りです。
◆交通事故の状態別の死傷者数
状態別 | 人数 | |
自動車 乗車中 | 死者 | 1,197 |
重傷者 | 9,415 | |
軽傷者 | 328,918 | |
死傷者合計 | 339,530 | |
致死率 | 0.35% | |
自動二輪車 乗車中 | 死者 | 401 |
重傷者 | 4,625 | |
軽傷者 | 23,077 | |
死傷者合計 | 28,103 | |
致死率 | 1.43% | |
原付 乗車中 | 死者 | 212 |
重傷者 | 4,086 | |
軽傷者 | 22,040 | |
死傷者合計 | 26,338 | |
致死率 | 0.8% |
ポイントはこのデータが「致死率=死者数÷死傷者数×100」で算出されているということ。
事故をしても、ケガをしなかった人は含まれていないと言うことになります。
つまり、自動車(4輪)のケースで言えば
と言うことですね。
事故をしても、無傷(ケガをしなかった)と言う人もたくさん居るはずなので、誤解の無い様にしないといけません。
事故をする前提で言えば「バイクは危ない」は正しい
前項のデータを深堀りしてみましょう。
車の場合には 「軽傷以上の」 事故にあった人の0.35%が命を落としてしまうと言う結果。
自動二輪車の場合には1.43%。原付は0.8%です。
つまり、警察庁発表のデータ上で言えば、原付は車の2.2倍。自動二輪車は車の4倍の致死率です。
となると、事故をした時に命を落としてしまう確率は、原付やバイクの方が車より高いのは間違いないですね。
車<原付<自動二輪 となっているのも、納得できる数字です。
転倒したときに大きなケガをするのは、投げ出される可能性が高い二輪でしょうし、原付よりも大きなバイクの方が、スピードが出るからでしょう。
また、自動二輪や原付の死傷者がそれぞれ年間3万人弱に対して、車の死傷者が約34万人。
10倍以上ですが、バイクや原付の数よりも、車の方が圧倒的に多いからでしょう。
とりあえず、「事故をする前提」で言えば、「バイクは車よりも危ない」と言うのは間違いないと言えます。
まぁここまでは予想通りですね・・・。
バイクは車よりも事故を起こしやすいのか?
事故をした時は、バイクは危ない。
それは認めましょう。
ただ、こうなると、やっぱりバイクの事故の発生率が気になります。
要は、「バイクは車よりも事故に遭いやすい?(起こしやすい?)のか」と言うことです。
ただ、前述のとおり、バイク(車)だけの事故発生率や発生数はデータがありません。
公的なデータが無いからには、公表されている数字を使って推測するしか無いわけです。
そこで使ったのが「保有台数」と「死傷者数」です。
つまり「日本で保有されているバイク(車)の台数に対して、どれくらいの人が事故で死傷しているか」
と言う数字を出してみました。
【バイク(車)で死傷した人数÷バイク(車)の保有台数】
と言うことです。
これで、事故の発生率に近しい数字になるのではないかと言う仮説です。
仮に近くなかったとしても、車との比較はできるでしょう。
それで算出したのが、以下の数字の表です。
◆二輪の保有台数と事故の死傷者数(平成30年)
原付・自動二輪の合計の保有台数 | 10,730,337台 |
原付・自動二輪乗車中の事故の死傷者数 | 54,441人 |
保有台数に対する事故での死傷者数の割合 | 0.51% |
◆四輪の保有台数と事故の死傷者数(平成30年)
車(4輪)の保有台数 | 77,938,515台 |
自動車乗車中の事故の死傷者数 | 339,530人 |
保有台数に対する事故での死傷者数の割合 | 0.43% |
バイクは原付と自動二輪の合算、車は乗用車(軽自動車含む)、貨物車、乗合車、特殊用途車の合算です。
2輪と4輪の比較をしたと言うわけです。
バイクの事故率は車と同じくらい?
前項の数字で言えば、仮説の事故発生率は、2輪が0.51%、4輪が0.43%という結果です。
バイクが10,000台あれば、51人が事故で死傷している
車が10,000台あれば、43人が事故で死傷している
ということですね。
正直0.1%くらいの差なので、ほとんど変わらないと言えるように思えますが・・・いかがでしょうか。
もちろん、ベースとなる数字が保有台数(台)と事故の死傷者数(人)なので、事故の発生率に置き換えるのは正確ではないでしょう。
保有台数と言うことは、登録されている車やバイクの数であって、実際に乗られていない台数も含まれています。
会社など法人であれば、何十台も保有している事もあるでしょうし。
あくまでも参考程度の数字です。
ただ、0.1%程度の誤差で、ほとんど変わらない数字になっているのも、個人的にはなんとなく納得がいくのです。
結局のところ、事故を起こす人は車を運転しようがバイクを運転しようが事故を起こすのではないかなと思ってしまうわけです。
「バイクは危ない」正しくもあり間違いでもある
こうして見てみると、車でもバイクでも、事故を起こす確率はあまり変わらないとも言えるのです。(あくまでも仮説上は)
なので、事故の発生率で言えば「バイクは危ない」と言うのは間違ってるとも言えます。
ただ、もし事故をしてしまった時には、間違いなくバイク(原付も含め)の方が命を落とす可能性が高いと言えます。
つまり、事故をしたら「バイクは危ない」と言うのは正しいと言わざるを得ません。
では、バイクに乗らない方が良いのかと言うことになると・・・それは話が違うような気がします。
数字をもとに、できるだけ理論的に考察したわけですが、バイクに乗る・乗らないは「理屈ではない」のです(少なくとも筆者にとっては)。
危ないなら、気を付けて乗る
危ないなら、安全対策して乗る
バイクに乗らないと言う選択肢は無いわけです。
まとめ:安全対策と安全運転が重要!
最後のほうは、筆者の個人的な想いになってしまいましたが・・・
まとめると、
と言うことができます。
そのため、とにかく安全運転に努める事。
また、ヘルメットや服装などの装備、それから「任意保険」。これらの安全対策をしっかり整える事は必須と言えます。
おそらく、バイクに乗る人の「意識の持ちかた」で、安全が危険かは、大きく変わるのだと思います。