これまで、大型二輪免許は「AT(オートマチック)限定の場合650㏄まで」という運転できるバイクの排気量制限がありました。
ただ、2019年の7月22日に警察庁が
「AT限定大型二輪でも、運転できる排気量を無制限にする」
というパブリックコメントを発表しました!
久しぶりに、バイクの免許制度の法改正です。
AT限定普通二輪の免許をお持ちの人や、これから大型二輪の免許を取得しようとしている人には朗報ではないでしょうか。
ここでは
などについて詳しく解説しています。
AT(オートマ)限定大型二輪免許で運転できる排気量が無制限に!
2019年7月22日発表の警察庁のパブリックコメントは以下のとおりです。
AT限定大型二輪免許で運転することができる車両の総排気量の上限(0.650リットル)を設けないこととする。また、AT限定大型二輪免許の試験車両を大型二輪免許の試験車両と同様に総排気量0.700リットル以上とすることとする(府令第24条第6項関係)
引用:電子政府の総合窓口e-Gov 「道路交通法施行令の一部を改正する政令案」
発表によると、2つの変更があります。
もちろん、すでにAT限定の大型二輪免許を持っている人は、そのままで排気量無制限で乗れるようになります。
一気に乗れるバイクが増えそうですね!
これから大型二輪免許を取ろうと考えている人も、AT限定にする人が増えるかも知れませんね
②の方は、ユーザーにとってはそれほど影響がないような感じがします。
試験車両が700㏄以上になるので、教習所で使用するバイクがスカイウェイブ650とかだと駄目になるという事。
経過措置を設けているので、直ぐに変わるかはわかりませんが教習所や試験場のバイクが少しづつ700㏄以上に変わっていくのでしょう。
今でもAT限定免許の教習でNC750S(DCT)などを使用している教習所も多いですけどね。
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排気量制限撤廃の理由は?
パブリックコメント上では「現在、総排気量0.700リットル以上のAT二輪車が流通していること」が理由とされています。
こんな風に対応してくれるなんて、警察庁も懐が深いところがありますね。
初めから制限なんて設けなければ良かったのに・・・。と思いがちですが、AT限定免許が導入された当時(2005年)はスカイウェイブ650がATバイクの最大排気量。
今みたいになるとは思っていなかったのでしょう。
じゃあ気になるのは、どんなバイクに乗れるのかって言う事ですね。
AT限定の排気量制限がなくなると乗れるバイク
650ccの制限があったので、今まではスカイウェイブ650、シルバーウイングGT(600cc)、T-MAX、それからBMWのC650など。
このあたりが候補の中心ですよね。
だいたいスクータータイプ。(というか、スクーターしかない?)
これから改正案が施行されると、一気に選択肢が増えてきます。
ポイントはDCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)やYCC-S(ヤマハ・チップ・コントロールド・シフト)。
これらはクラッチやシフト操作が自動化された変速機で、クラッチ操作が不要です。
そもそも、バイクのAT限定は「クラッチ操作を有さない」バイクしか運転できないと言うこと。
勘違いする人も多いのですが「スクータータイプ」しか運転できないという事ではありません。
つまり、DCTやYCC-Sはクラッチ操作の不要なバイクですから、AT限定免許でも運転が可能ということなのです。
では、具体的な車種をいくつか紹介します。
※紹介するバイクはAT限定では乗れないMTモデルがあるバイクもありますので注意してください。
ホンダ GOLDWING DCT
ホンダの新しいGOLDウイングはDCT仕様もラインナップ。
1,833ccのエンジンを積んだ圧倒的な存在感です。DCTは電子式7段変速で、もちろんクラッチ操作は不要。
AT限定大型二輪で運転ができるようになります!
ホンダ CRF1000L アフリカツインDCT
国内メーカーのデュアルパーパスの代表格と言えば、アフリカツイン。
電子式6段変速のDCT仕様もあります!
今までの650㏄制限だとスクータータイプを中心に選ばざるを得なかったのですが、排気量無制限になる事でアフリカツイン(1000cc)も運転が可能に!
もちろん、DCTならクラッチ操作は不要です。
ホンダ X-ADV
X-ADVはアドベンチャースクーターとして注目を浴びた1台。
もともと、DCT仕様のみだったのですが、排気量は750㏄。
つまり、今までの650㏄制限だと乗れなかったスクーターです。このような大排気量スクーターも制限撤廃で乗れるようになります!
ヤマハ FJ1300AS
ヤマハの大型ツアラーと言えばFJ。
ベテランライダーの中にはFJ1100、FJ1200に乗っていた人も多いのでは。
現在のFJ1300はクラッチ操作の不要なYCC-S を搭載したFJ1300ASがあります。
ASならAT限定での運転も可能になります!(※FJ1300Aは標準のMTモデル)
ホンダ NC750X
2012年に登場したNC700X・NC700S・インテグラはエンジン、フレーム、足回りを共有する兄弟モデルでした。
インテグラは、残念ながら廃版になってしまいましたが、NCの2台はNC750X・NC750Sに排気量をアップしてモデルチェンジ。
それぞれDCTのモデルも存在します。
価格も抑えられた設定で、走りも万能なバイクですね(画像はNC750X)
Herley-Davidoson LiveWire
ハーレーのLiveWireは日本では発売予定車両になっています。
ただ、2019年の秋には北米と西ヨーロッパでの販売が開始予定。国内での販売がもう少し先になりそうですが、期待の大きな電動バイクです。
このLiveWireはクラッチレス。つまり、AT限定免許で運転できることになります。
また、詳しくは後述していますが、今回の法整備では「電動バイクでの大型二輪の区分」が新たに設けられています。
なので、このLiveWireもAT限定大型二輪で運転ができるようになるバイクの可能性が高いです。
(車両の詳細情報など未確認の事も多いので、現時点では未確定ということでご了承ください)
その他
他にも、アプリリアのSRV850は850㏄の大型スクーター。
現在は生産中止になってしまいましたが、同じくアプリリアのMANA(マーナ)850やホンダのVFR1200F・DCTは中古車なら入手が可能。
これらのバイクも、排気量制限が撤廃されると運転が可能になります。
また、これからも大排気量のクラッチレスバイクが登場した時には、AT限定大型二輪免許で運転ができるようになるという事ですね!
AT限定大型二輪の排気量制限はいつから?
気になる施行時期は、以下のように記載されています。
施行期日
引用:電子政府の総合窓口e-Gov 「道路交通法施行令の一部を改正する政令案」
改正法附則第1条第2号に掲げる規定の施行の日(改正法の公布の日(令和元年6月5日)から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日(令和元年12月1日を予定))から施行する。
予定通りならば、令和元年12月1日からです!
大型の電動バイクも乗れるようになる!?
今回のパブリックコメントでは、電動バイクに関しても法整備が進んでいます。
定格出力が20.00キロワットを超える原動機を有する自動二輪車の区分を、普通自動二輪車から大型自動二輪車に改めることとする(府令第2条関係)。
引用:電子政府の総合窓口e-Gov 「道路交通法施行令の一部を改正する政令案」
電動バイクの場合には、エンジンの排気量ではなくモーターの定格出力でバイクが区分されています。
ただ、今までは法整備が追い付いていなくて、大きな定格出力の電動バイクは
「定格出力が1.0kw超は普通自動二輪」
としか決まっていなかったのです。
これは、1.0kwでも100kwでも普通自動二輪の扱いということ。
つまり、ガソリンエンジンでいう大型リッターバイク(例えば、YZF-R1やハヤブサのような)に相当する電動バイクでも、普通二輪免許で乗れてしまうというような状況でした。
とは言え、現状では、大型リッターバイクに相当するような電動バイクは国内では存在しなかったため、大きな問題にならなかったと言うことですね。
ただ、前述のとおりハーレーでは「LiveWire」という「時速100kmまでの全開加速はわずか3.0秒」という凄い電動バイクが2019年の夏~秋にアメリカで販売予定です。
しかも、このバイクはクラッチレス。
となると、このハーレーのLiveWireはAT限定の「普通」二輪免許で運転できてしまうと言うのが現状(2019年7月時点)の法律です。
それが今回のパブリックコメントで、「定格出力20kw以上は大型自動二輪にします」と発表されたという訳です。
おそらくですが、LiveWireは定格出力が20kw以上にはなるでしょう。
そうなると、AT限定大型二輪免許で運転が可能になると言うことですね。( AT限定普通二輪免許ではダメになる)
こちらも同じく令和元年12月1日の予定だそうです。
今後、大型の電動バイクが数多く出てくるようになると、AT限定大型二輪免許の需要が更に増えるかも知れませんね!
まとめ
今回のパブリックコメントで注目したのは、
この2つです。
ほぼ、間違いなく施行されるとは思います。
特に排気量制限の撤廃は、ユーザーにとってはメリットのある改正ではないでしょうか。
このような法改正はどんどん進めて欲しいですね!