夜間にバイクで走行をする場合には、当然ですがヘッドライトを点灯します。
ただ、バイクの場合には昼間でもヘッドライトが点灯する仕組みになっている車種が非常に多いです。
これは、道路運送車両法の保安基準で「常時点灯」が決められているため。
では、昼間にヘッドライトを点けていないと違反になるのでしょうか。
ここでは、
などについて、解説しています。
ヘッドライトの常時点灯は保安基準で決まっている
比較的あたらしいバイクに乗っている場合には、そもそもヘッドライトのON/OFFスイッチが付いていません。
そのため、必然的にヘッドライトが昼間でも常に点いている状態になります。
これは、「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示」でヘッドライトの常時点灯が決められているので、メーカーがライトを消せないように作っているからです。
この告示では、以下のように記載があります。
二輪自動車及び側車付二輪自動車に備える走行用前照灯及びすれ違い用前照灯は、原動機が作動している場合に常にいずれかが点灯している構造であること。
引用:道路運送車両の保安基準の細目を定める告示120条7項十二
ここで言う「走行用前照灯」とはハイビームのこと。「すれ違い用前照灯」はロービームを指します。
つまり、「バイクのエンジンが掛かっている時には、前照灯(ヘッドライト)が常に点灯していなくてはならない」と明確に記載されていると言う事ですね。
ただ、この時にハイビームかロービームかは問わないと言う事です。
常時点灯は平成10年4月以降製造のバイクのみ
最近のバイクではヘッドライトを消すことができませんが、少し昔のバイクにはON/OFFのスイッチがあります。
このようなバイクは、ヘッドライトの常時点灯はしなくても問題はありません。
具体的には、平成10年(1998年)の3月31日以前に製作されたバイクは、常時点灯義務の対象外になっています。
逆に言えば、平成10年(1998年)の4月以降に製作されたバイクは、常時点灯でないと保安基準違反になると言う事ですね。
また、これは輸入車においても同様です。
これもきちんと法律上で記載があります。
「道路運送車両の保安基準第2章及び第3章の規則の適用関係の整理のため必要な事項を定める告示」の29条2項になりますので、興味のある方は確認してみてください。
ヘッドライトのオン/オフスイッチの後付けは違反?
基本的には、平成10年4月以降に製造されたバイクには、ヘッドライトのスイッチは付いていません。
ただ、アフターパーツでライトのON/OFFスイッチが販売されています。
このスイッチを後付けするとどうなるのでしょうか。
道路運送車両法には、以下のように記載があります。
(不正改造等の禁止)
引用:道路運送車両法
第九十九条の二 何人も、第五十八条第一項の規定により有効な自動車検査証の交付を受けている自動車又は第九十七条の三第一項の規定により使用の届出を行つている検査対象外軽自動車について、自動車又はその部分の改造、装置の取付け又は取り外しその他これらに類する行為であつて、当該自動車が保安基準に適合しないこととなるものを行つてはならない。
つまり、平成10年4月以降に製造されたバイクにヘッドライトのオン/オフスイッチを後付けする事は、保安基準に適合しなくなるため、不正改造に該当すると言う事になります。
また、この場合の罰則は「6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金」と定められています。
当然、保安基準に該当していないと言う事は、車検にも通らないと言う事になるので、注意が必要です。
実際のところは、ON/OFFスイッチを後付けしても、白バイやお巡りさんに気付かれるようなケースは少ないかもれませんし、車検に通ってしまう事はあるかもしれません。
ただ、厳密に言えば、違反であって車検にも通らないと言う事は認識しておくべきでしょう。
ON/OFFスイッチを販売しているメーカーも、「平成10年4月1日以降製作車輌には保安基準に抵触するため使用できない」旨を記載して販売しているはずです。
ちなみに、平成10年3月31日以前のバイクであれば、オン/オフスイッチが付いていても全く問題ありません。
関連記事≫バイクのヘッドライトの車検と保安基準
昔のバイクでも夜間は点灯義務がある
平成10年3月31日以前製造のバイクは、日中にヘッドライトを点灯なくても違反にはなりません。
ただ、夜間であれば当然ですが、点灯義務があります。
これは、道路交通法で定めるところの「車両等の灯火」で定められています。
第五十二条 車両等は、夜間(日没時から日出時までの時間をいう。以下この条及び第六十三条の九第二項において同じ。)、道路にあるときは、政令で定めるところにより、前照灯、車幅灯、尾灯その他の灯火をつけなければならない。政令で定める場合においては、夜間以外の時間にあつても、同様とする。
引用:道路交通法
つまり、夜間はバイクの製造年にかかわらず、無灯火だと違反になると言う事です。
これを違反した時には「無灯火違反」となり
となります。
テールランプの常時点灯は必要?
ヘッドライトの場合には、常時点灯が義務となっています。(年式による)
では、テールランプは常時点灯しなくても良いのでしょうか。
結論としては、テールランプは昼間に点いていなくても問題ありません。
現時点では、テールランプ(尾灯)の保安基準には常時点灯を定める記載はないのです。
(もちろん点いていても問題はありませんし、最近のバイクはテールランプも常時点灯になっているバイクも多いです。)
ただ、先ほど引用した道路交通法52条にあるように、夜間ではテールランプ(尾灯)も点灯をしなくてはなりません。
夜間にテールランプが点いていない場合、
の違反に該当します。
関連記事≫バイクのテールランプの保安基準とは
原付でも常時点灯のルールは一緒
ヘッドライトの常時点灯のルールや保安基準について解説してきましたが、基本的には原動機付き自転車(原付)でも同じです。
詳細は、「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示の260条2項3」に記載されていますが、同じようにエンジンが掛かっている時はヘッドライトの点灯が必要です。
また、原付の製造年は平成10年4月以降制作の車体に限る事も同様です。
まとめ
バイクの常時点灯の目的は、視認性向上による交通安全が目的でスタートしています。
確かに、日中のライト点灯で、早めに気づくと言う事はあると思います。(たまに眩しすぎる車・バイクもいますが・・・)
そういう面を考えると、昔のヘッドライトスイッチがあるバイクでも、昼間の点灯をするのは良いかもしれませんね。