バイクはガソリンを燃焼して走るので、走行中はどんどんエンジンが熱くなって行きます。
そのため、オーバーヒートを起こさないように、エンジンを冷やしてあげる必要があると言うわけですね。
このエンジンを冷やす方式には「空冷」「水冷」「油冷」という3種類があります。
ただ、最近のバイクの多くは「水冷エンジン」と言っても良いでしょう。
この「水冷エンジン」ですが、実際にどのような仕組みになっているのでしょうか。
また、ラジエーターやクーラントなどの用語も、イマイチ良く分からない・・・そんな人も居ると思います。
そのため、ここでは
など、バイクの水冷エンジンの仕組みについて、できるだけわかりやすく解説しています。
バイクの水冷エンジンとは
水冷エンジンとは「水や冷却液をつかって冷却を行う」エンジンのこと。これはバイクでも車でも一緒です。
バイクで言えば、最近の多くのバイクは水冷エンジンと言っても良いでしょう。
熱くなったエンジンを冷やすために、冷却水がエンジンを循環していると言うことですね。
冷却水はただの水ではなく、LLC(ロングライフクーラント)と言うエチレングリコールが主成分の液体が使われます。
クーラント液とも呼ばれますね。
水冷エンジンの他には、空冷エンジン、油冷エンジンがあります。
空冷エンジンは走行中の風(走行風)でエンジンを冷やす方式。
以前は空冷式のバイクもたくさんありましたが、最近はほとんど生産終了になっています。ヤマハのSRは今でも空冷で販売されていますね。
また、油冷エンジンは「油(エンジンオイル)」を用いたエンジンの冷却方式。
最近、スズキのジクサー250が油冷エンジン採用と言うことで話題になりましたね。
バイクの水冷エンジンの仕組み
では、冷却水を使用してエンジンを冷やす「水冷エンジン」はどのような仕組みになっているのでしょう。
一般的な水冷エンジンのバイクには、
などの部品が備わっています。
全て、エンジンを冷却するために必要な部品ですが、それぞれの役割と一緒に、具体的な仕組みを解説していきましょう。
まず、エンジンが暖まるまでは、冷却水はエンジン内部のみで循環しています。
走り始めたばかりや、暖気している間など、まだエンジンが冷えている時には、逆にエンジンを暖めなくてはなりません。
そのため、冷却水を流さないで、エンジン内部だけの循環に留めていると言うことですね。
これをコントロールしてるのが「サーモスタッド」。
つまり、サーモスタッドは、冷却水の温度を見ながら、ラジエーターに送る水量を調整していると言うわけです。
また、冷却水を循環させるポンプの役割を担っているのが、ウォーターポンプと言う部品です。
関連記事≫バイクに暖気運転は必要?正しい方法とやってはいけない方法とは?
冷却水の熱を放熱するラジエーター
エンジンが暖まってきて、冷却水が熱くなってくると、サーモスタッドが弁を開きます。
サーモスタッドが弁を開けることで、「ラジエーター」に熱くなった冷却水が送り込まれるようになるということですね。
ラジエーターでは熱くなった冷却水の放熱を行い、放熱した冷却水は、再びエンジン内部に戻ると言うことですね。
つまり、冷却水がエンジンで熱を吸って、ラジエーターで放熱しながら、常にぐるぐると循環していると言うことですね。
ラジエーターの仕組み
前述の通り、ラジエーターは熱くなった冷却水の放熱をする装置です。
水冷エンジンのバイクは、前面に網状(波状)のパーツが付いているのを、一度は見たことがあるのではないでしょうか。
この四角形の網状(波状)の部分をラジエーター・コアと言います。
ラジエーターコアは、冷却水が流れる多数の「チューブ」と、放熱用の「フィン」で構成されています。
ラジエーターに送り込まれた冷却水は、ラジエーターコア内のチューブを流れる際に、放熱をして、再びエンジン内に戻るということですね。
バイクの場合、フィンは熱伝導性が高いアルミでできている事がほとんど。
少しでも放熱面積が多くなるように、何層にも折り畳んだような波状になっていると言うわけですね。
また、ラジエーターに送り込まれた冷却水が、多数のチューブに分散されるのも、冷却効率を良くするためです。
ちなみに、ラジエーターがバイクの前面に付いているのは、走行中の風を多く取り込めるようにするため。
そのためラジエーターが汚れなどで目詰まりしていると、放熱機能が十分に発揮できないこともあります。
ラジエーターキャップとリザーブタンクの役割
通常、水は100℃で沸騰しますが、加圧状態(圧力をかける)にする事で、沸点が高くなる性質があります。
つまり、100℃以上になっても沸騰しないと言うことですね。
(ちなみに、富士山の山頂は逆に空気が薄く、沸点が87℃くらいだそうです)
そこで、ラジエーターキャップが冷却経路を密閉し、温度が上がると加圧状態になるようにしています。
熱は温度差があるほど早く移動するので、冷却水の温度が高くなるほど冷却効果が高まるということですね。
ただ、あまりにも圧力が高くなってしまうと、破損の恐れもあります。
そのため、圧力が一定以上になると、ラジエーターキャップにある「圧力弁」が開き、リザーブタンクに冷却水を逃がすのです。
その後、温度が下がって圧力も下がると、冷却水が戻されると言うわけですね。
つまり、ラジエーターキャップには
をしていると言うことです。
また、冷却水のリザーブタンクは、
という役目になっている訳ですね。
冷却ファン(ラジエーターファン)の役割
ラジエーターには、裏側に扇風機のようなファンが付いています。
これを冷却ファン(ラジエーターファン)と呼び、水冷エンジンの冷却装置のひとつです。
冷却ファンは、クーラント(冷却水)の温度が一定以上になると起動し、強制的に風を送りこんで冷やす役割を持っています。
例えば、信号待ちや渋滞時など、充分に走行風をラジエーターに送り込めないようなケース。
このような時に、冷却ファンが回り、ラジエーターコアを流れる冷却水を冷やしてくれるのです。
まとめ
エンジンの冷却は、オーバーヒートにならない為にも非常に重要とも言えます。
関連記事≫バイクのオーバーヒートの原因や症状は?夏の渋滞には特に注意!
そのため、水冷エンジンのバイクの場合は、ラジエーターの目詰まり(掃除)や冷却水の劣化などもたまにはチェックするようにしましょう。
関連記事≫バイクの冷却水(クーラント)交換!時期や工賃・方法を解説
また、冷却水(クーラント)だけでなく、エンジンオイルもエンジンの冷却には重要な役割を担っています。
エンジンオイルの定期的な交換も忘れずに行うようにしましょう。
関連記事≫バイクのエンジンオイル交換!頻度や時期の目安を詳しく解説!