バイクに乗るうえでは、ヘルメットの着用が義務付けられていますので、かっこよくバイクに乗るためには、ヘルメットにも拘りたいものです。
よく、小排気量スクーターだけでなく、ハーレーやアメリカンバイク、もしくはネイキッドでもハーフヘルメット(半ヘル、半キャップ)を着用しているのを見かけますが、違反になるのでしょうか?
結論から言うと大型バイクであろうが、半ヘルの着用は違反にはなりません。ただ、道路交通法の解釈では半ヘルの状態によっては捕まる可能性もあります。
また、半ヘルでの運転は非常に危険であることは認識しておいた方が良いでしょう。
ここでは、半ヘルが違反にならない理由と、捕まるケース、半ヘルの危険度について解説しています。
半ヘル・半キャップでも違反にはならない理由
まず前提として、交通違反で捕まるというのは「道路交通法」に違反して違反点数、反則金が課せられるという事です。
その道路交通法では、ヘルメットの着用は義務付けていますので、いわゆるノーヘルでの運転は違反となり捕まります。
では、乗車用のヘルメットはどのように定義づけされているのかと言うと、以下のように定められています。
法第七十一条の四第一項及び第二項の乗車用ヘルメットの基準は、次の各号に定めるとおりとする。
引用:道路交通法施行規則
一 左右、上下の視野が十分とれること。
二 風圧によりひさしが垂れて視野を妨げることのない構造であること。
三 著しく聴力を損ねない構造であること。
四 衝撃吸収性があり、かつ、帽体が耐貫通性を有すること。
五 衝撃により容易に脱げないように固定できるあごひもを有すること。
六 重量が二キログラム以下であること。
七 人体を傷つけるおそれがある構造でないこと。
上記の定めを満たしていれば、乗車用ヘルメットとして認められるため半ヘル・半キャップでも道路交通法の違反にはならないという事になります。
衝撃吸収性や耐貫通性に関して具体的な数値での規定がないため、半キャップだという理由で違反にできないというのが実情です。
良く、SG規格やPSCマークなどの「規格外」のヘルメットは違反との噂もありますが、規格などの定めはされていませんので、規格外ヘルメットであっても捕まる事はありません。(ヘルメットの規格に関しての詳しい説明は後述します)
半ヘルで違反になる事はある
前項の道交法を見ていただくとわかる様に、半ヘルは違反にはなりませんが、ヘルメットの状態によっては捕まる事もある事がわかります。
例えば、あご紐が切れて固定できない場合や、(ないとは思いますが)2㎏以上もあるヘルメットを着用していたら違反になります。
また、半キャップのインナー(発泡スチロールやコルク部分)を完全に取ってしまって衝撃吸収性が無いと判断された場合には、捕まる可能性はある事は覚えておきましょう。
規格外ヘルメットは乗車用として販売したらNG
バイク、原付の乗車用ヘルメットは、「消費生活用製品安全法」という法律の「特定製品」に該当しています。 消費生活用製品安全法では、特定製品の販売について以下のように定めています。
(販売の制限)
引用:消費生活用製品安全法
第四条 特定製品の製造、輸入又は販売の事業を行う者は、第十三条の規定により表示が付されているものでなければ、特定製品を販売し、又は販売の目的で陳列してはならない。
この規定がPSCマーク制度であり、PSCマークが無いヘルメットを乗車用として販売すると罰せられると言う訳です。
よく、半キャップを販売しているお店が、「このヘルメットは装飾用です」と記載して販売しているのはこのためです。
ただ、繰り返しになりますが、購入者が乗車用と使用しても道交法上では違反にはならないのです。
半ヘルで事故にあった時の危険度
警視庁がヘルメットの着用状況についての調査結果を発表しています。
調査によると、形状別着用者の割合が以下のようになっています。
- フルフェイス型・・・32.3%
- ジェット型・・・37.2%
- 半キャップ型・・・30.4%
使用率はどのタイプのヘルメットもほぼ同じ割合です。
また、形状別に適正な着用割合と言うものも出ています。
- フルフェイス型・・・82.7%
- ジェット型・・・71.7%
- 半キャップ型・・・52%
半キャップを使用している人の約半数がきちんと装着していなかったという結果になっています。あご紐をきちんと締めていなかった、緩んでいたなどが該当します。
更に、過去3年間の事故にあって亡くなった方のヘルメットの脱落状況と言う数値も出ています。事故にあって、メットが脱げてしまった割合です。
- フルフェイス型・・・37.4%
- ジェット型・・・29.4%
- 半キャップ型・・・55.6%
半キャップ使用者の半数以上がヘルメットが脱落してしまっています。もちろん、適正な着用率が低い事も大きく影響している事は予想されますが、事故にあった際に大きなケガをしたり、亡くなってしまう可能性は確実に高いと言えるでしょう。
規格外の装飾用半キャップを使用していたら、尚更危険度が上がる事は言うまでもありません。
ヘルメットの規格の種類
それでは、ヘルメットの安全性の指標になる規格にはどのようなものがあるのでしょうか?実はヘルメットの規格には様々な企画がありますので、順に説明していきましょう。
PSCマーク
前段でも触れましたが、消費生活用製品安全法で特定製品と定められている製品に付くマークです。通常、乗車用ヘルメットとして販売されるものには、このPSCマークがついていないと販売ができません。そのため、一般的に販売されているヘルメット(装飾用を除く)には基本的にはこの基準をクリアして、PSCマークが付いているはずです。
乗車用ヘルメットには色々な規格がありますが、PSCマークだけが、無いと販売できない規格になっています。
SGマーク
SGマークは一般社団法人製品安全協会の基準をクリアした製品に付けられるマークです。125㏄以下のバイクの基準と排気量無制限の基準と2種類の基準があります。
SGマーク付きのヘルメットは、製品の欠陥による人身事故の場合には賠償制度があります。(有効期限は購入後3年間)
国内のバイク用ヘルメット規格では最も信頼されている規格と言って良いでしょう。
JISマーク
JISに関しては聞いたこともある人が多いのではないでしょうか?日本工業規格(JIS)の基準をクリアした工業製品に付くマークで日本の国家規格です。JIS規格とも言います。
SNELL規格
SNELLは今までの日本の規格とは異なり、アメリカの規格になります。非営利団体のSNELL財団が定める基準で、世界的には最も有名で、最も厳しい規格と言われてます。
5年毎に規格の見直しが入り、最新は2015年規格が最新です。SNLL規格のステッカーに規格年が記載されています。
DOT規格
この企画もアメリカの規格です。SNELLほどは厳しくありませんが、アメリカの国家規格として知名度がかなりある規格です。昨今はこの規格付きのヘルメットを目にする機会も増えてきたように思います。
その他の規格
他にも、日本モーターサイクル協会の規格である「MFJ規格」やヨーロッパの規格である「ECE規格(ECE 22.05 Standard)」などの規格もあります。
これだけあると、何が良いのか良くわからなくなってしまいますが、日本で販売されるバイクのヘルメット(装飾用を除く)にはPSCマークが必ず付いている必要があり、その他の規格を通すかどうかはメーカーの任意だという事です。
実際にどの規格が優れているのかは、非常に難しいところです。すごくシンプルに言うと、SNELLは硬さや耐衝撃に厳しいのに対して、ECEは衝撃を吸収する事に重点を置いており、そもそも安全性の追求の方向性が異なるのです。
そのため、あくまでも一般論になりますが、PSCマークとSGマークの両方が付いていればとりあえず安心という声が多いのが実情です。
まとめ:半キャップでも規格認定を選ぶのが良い
半キャップでバイクに乗る事自体は道交法では違反ではありません。とはいえ、やはり安全面で言えばフルフェイス>ジェット>ハーフタイプなのは否めません。
できる事なら、フルフェイスやジェットヘルを選ぶ方が良いでしょう。
しかしながら、乗っているバイクやそれぞれの好みで、人によっては、フルフェイスタイプのヘルメットだと違和感を感じるケースもあるのは確かでしょう。
そのため、せめて半キャップタイプを選ぶのであれば、安全規格、製品規格を通っているヘルメットを選んではいかがでしょうか?
半キャップ=全てが装飾用という事はありません。 見た目も安全面も両方考えたうえでヘルメットを選んでみる事をおすすめします。
※本記事は2019年3月に記載しています。ご活用の際は、有用性をご確認くださいますようお願い致します。