バイクは機動力に優れる反面、積載性に乏しい乗り物です。
とは言え、キャンプや長期間のツーリングの時にはたくさんの荷物が必要なこともあります。
長期間の休みになると、信じられないくらいの荷物を積んで走っているバイクを見たことがある人も多いのではないでしょうか。
そんな時に気になるのは、バイクの荷物の積載制限。
法律上はどのようになっているのでしょう。
ここでは、
などについて詳しく解説しています。
バイクに積載制限ってあるの?
バイクに積む荷物は、限界ギリギリまで積んで良いと言うわけではありません。
道路交通法施行令と言う法律で、積載の制限が決まっているのです。
これは、バイクに限らず、車や原付でも同様。
積載制限をオーバーして公道を走行すると、違反になってしまうと言うわけです。
積載制限には、道路交通法施行令「自動車の乗車又は積載の制限」にて
の決まりがあります。
乗車人数については省略しますが、「長さ・幅・高さ」と「重量」について詳しく見ていきましょう。
バイクの積載制限【高さ・幅・長さ】
道路交通法施行令によると、以下のような記載があります。
(※少し長いので、面倒なら飛ばしてください。あとで簡単にまとめています)
三 積載物の長さ、幅又は高さは、それぞれ次に掲げる長さ、幅又は高さを超えないこと。
引用:道路交通法施行令第二十二条
イ 長さ 自動車の長さにその長さの十分の一の長さを加えたもの(大型自動二輪車及び普通自動二輪車にあつては、その乗車装置又は積載装置の長さに〇・三メートルを加えたもの)
ロ 幅 自動車の幅(大型自動二輪車及び普通自動二輪車にあつては、その乗車装置又は積載装置の幅に〇・三メートルを加えたもの)
ハ 高さ 三・八メートル(大型自動二輪車、普通自動二輪車及び小型特殊自動車にあつては二メートル、三輪の普通自動車並びにその他の普通自動車で車体及び原動機の大きさを基準として内閣府令で定めるものにあつては二・五メートル、その他の自動車で公安委員会が道路又は交通の状況により支障がないと認めて定めるものにあつては三・八メートル以上四・一メートルを超えない範囲内において公安委員会が定める高さ)からその自動車の積載をする場所の高さを減じたもの
四 積載物は、次に掲げる制限を超えることとなるような方法で積載しないこと。
イ 自動車の車体の前後から自動車の長さの十分の一の長さ(大型自動二輪車及び普通自動二輪車にあつては、その乗車装置又は積載装置の前後から〇・三メートル)を超えてはみ出さないこと。
ロ 自動車の車体の左右からはみ出さないこと(大型自動二輪車及び普通自動二輪車にあつては、その乗車装置又は積載装置の左右から〇・一五メートルを超えてはみ出さないこと。)。
法律の条文だと難しいですよね。
簡単にまとめると、バイクの場合には、
と言う事になります。
乗車装置と積載装置とは?
法律用語は難しいので、少々補足しておきましょう。
簡単に言うと、乗車装置とはバイクで言うとシートやステップなどの事。
積載装置は荷台(キャリア)のことです。 つまり、ツーリングバックなどを括り付けた時に、シートやキャリアから30cm以上はみ出したらNGと言う事です。
ポイントは積載「物」と積載「方法」の違い
積載物の幅は30cmと決まっていますが、積載方法を見ると「左右15cmを超えない事」となっています。
例えば、積載物の幅のはみ出しが30cm以内に収まっていても、キャリアから左5cm、右25cmオーバーして積んでいたらダメと言う事になります。
パニアケースやサイドバックは積載装置になるの?
積載装置=キャリアと言うのはわかりやすいのですが、では
などは積載装置にあたるのでしょうか。それとも積載物になるのでしょうか。
結論から言うと、サイドバックやパニアケースなどは、積載装置とみなして問題ありません。
道路運送車両の保安基準では「物品積載装置は、堅ろうで、かつ、安全、確実に物品を積載できる構造であること」としか記載がないので、明確な定義はされていません。
しっかりと壊れにくく、きちんと物品が積載できるものであれば積載装置と考えて大丈夫です。
また、もし、パニアケースやサイドバックが積載物だとすれば、メーカーは片方で15cm以上の幅の商品は出せない事になります。
ただ、各メーカーの純正オプション品でも、片側15cm以上の幅があるものがたくさん出ていますよね。 つまり、パニアやサイドバックなどは、積載物ではなく積載装置と考えて問題ないと言う事です。
パニアケースやサイドバックは構造変更が必要?
車検証には、バイクのサイズが記載されています。
通常、カスタムやパーツの交換をした時に、バイクのサイズが一定範囲を超えると、「構造変更」という手続きが必要になります。
となると、疑問が出てくるのはパニアケースやサイドバック、トップケースを付けた時。
明らかにバイクの幅や高さが変わります。
ただ、心配は不要です。
少々難しい話になりますが、サイドバックやパニアケースは「車体まわり、手荷物を運搬するための部品」に該当する「指定部品」になります。
この、指定部品にあたるものは、装着時の車体の長さ・幅・高さ・重量などが一定範囲の基準値以上に増加しても、構造変更手続きは不要になっているのです。
そのため、BOXやパニアケース、サイドバックなどを装着しても、構造変更は不要ですし車検もそのまま通せます。
※溶接やリベットなどで「恒久的(取れない)な取付け方法」をしてしまうと構造変更が必要になります。
関連記事≫バイクの構造変更とは?手続き方法や申請が必要なケースを解説
バイクの積載制限【重量】
積載のサイズが長くなりましたが、重量についても触れておきましょう。
同じように、道路交通法施行令では積載物の重量についても定めています。
バイクの場合には、
「積載物の最大重量は60㎏まで」
となっています。
60㎏以上の荷物をバイクに積むケースはほとんど無いと思いますが、法律上の制限として覚えておくと良いでしょう。
125㏄の積載制限は?
道路交通法施行令では、積載制限について
を別々に定めています。
ただ、ここで注意が必要なのは、道路交通法上での車両区分では、「原付=50㏄以下」となっていると言う事です。
51㏄超の90㏄や125㏄のバイクは、道路交通法上では普通自動二輪車に該当します。
道路運送車両法と混同しがちなので、注意が必要です。
そのため、125㏄のバイクは、前述の「普通二輪車」の積載制限が適用されると言う事になります。
原付(50㏄)の積載制限は?
50㏄以下のバイクの時には、積載制限は以下のようになります。
基本的にはほとんど一緒ですが、積載可能重量が半分になっています。
ナンバーやウインカーが隠れるのは違反
注意が必要なのは、積載の制限さえ守っていれば、なんでもOKと言うわけではありません。
車両の運転者は、運転者の視野若しくはハンドルその他の装置の操作を妨げ、後写鏡の効用を失わせ、車両の安定を害し、又は外部から当該車両の方向指示器、車両の番号標、制動灯、尾灯若しくは後部反射器を確認することができないこととなるような乗車をさせ、又は積載をして車両を運転してはならない。
引用:道路交通法第五十五条の2項
簡単にまとめると、
このような積載をすることを禁止していると言う事ですね。
特に注意が必要なのが、ウインカーやナンバーなどのテール周り。
荷物が垂れさがって、ナンバーやウインカーが見ずらいと、違反になってしまいます。
バイクの積載違反の罰則は?
積載制限などを守らずに公道を走行すると、当然ですが違反になってしまいます。
違反の内容としては、
などに該当します。
いずれも、違反点数1点、反則金6,000円(50㏄は5,000円)です。
また、積載物を落下させてしまうと、「転落積載物等危険防止処置義務違反」になってしまう事もあります。
まとめ
基本的には、「バイク=荷物が積めない乗り物」というイメージが強いですよね。
ただ、そういうイメージに抗って、たくさんの荷物を積載するのは、気持ち良いというか楽しいというか・・・一種の満足感を得る事もあります。
ただ、やはり積載の制限を守る事が前提です。
また荷物が多い時にはバランスを崩しやすいので、くれぐれも安全運転を心がけて下さい。