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キャブレターのオーバーフローとは?原因と修理方法を解説

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インジェクションが主流になった昨今でも、キャブレターのバイクは人気があると言えます。

キャブレターは構造がシンプルで、自分でセッティングなどもでき「味がある」と言う人も多いですよね。

そんなキャブレターですが、良くあるトラブルのひとつに「オーバーフロー」と言うものがあります。

簡単に言うと「ガソリン漏れ」なのですが、ここでは

  • キャブのオーバーフローとは
  • オーバーフローになる原因
  • キャブがオーバーフローをした時の対処法
  • 修理にかかる費用

などについて解説しています。

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バイクのキャブレターの「オーバーフロー」とは

オーバーフローとは、キャブレターからガソリンが溢れ出す不具合のこと。

過剰に(over)流れる(flow)と言うことから来ている用語です。

通常、ガソリンタンクから流れてきたガソリンは、キャブレター内のフロートチャンバーと言う場所に溜まります。

しかしながら、ガソリンが流れ続ければ、当然溢れてしまいます。

そのため、フロートと呼ばれる「浮き」の仕組みを利用して、フロート室のガソリンが一定量になるように調整しているのです。

ただ、何らかの原因でこの仕組みに不具合が出ると、ガソリンが溢れてしまう「オーバーフロー」が起こると言うわけです。

また、ガソリンが漏れる事から「お漏らししている」なんて言うこともあります。

※参考

左:SR400(1985年式)キャブレターのパーツリスト。様々なパーツで構成されているのが分かりますね。下の方にあるのがフロートチャンバーとフロートです。

右上:フロート(チャンバー)の仕組み。タンクからのガソリンがチャンバーに溜まるとフロートが浮いてフロートバルブが「栓」をするようになっている。

また、チャンバー内のガソリンが減ると、バルブが動き、再びガソリンが供給されると言うことですね。

キャブのオーバーフローの原因

キャブレターのオーバーフローが起こる原因はいくつか考えられます。

主な原因としては、

  • フロートバルブの劣化や異物の混入
  • フロートの動きが悪い
  • フロートの劣化や破損
  • フロートの油面調整不足

等があげられます。

それぞれ補足していきましょう。

フロートバルブの劣化や異物の混入

フロートバルブ。実際はとても小さなパーツです。

チャンバー内のガソリンが溜まってくると、浮力でフロートが浮き、フロートバルブが蓋をしてガソリンの流れを止めます。

このフロートバルブの先端はゴムでできているのですが、

  • バルブの先端が劣化している(段付き)
  • バルブの開閉部分にゴミや異物が付いている
  • バルブが固着していて動かない

と言うような理由で、きちんと密閉できないと言うことがあります。

密閉できていないと、当然ガソリンが流れて来てしまいますので、オーバーフローの原因になると言うことですね。

フロートの動きが悪い

※フロート。形は違えど「浮き」の役割をしている。黒やベージュのものもあります。

フロートバルブを動かすのが、浮力によって上下するフロート(浮き)です。

フロート内にゴミなどが溜まり、このフロートの動きが鈍くなれば、当然バルプの開閉にも影響が出ます。

そのため、フロートの動きが悪くなることもオーバーフローの原因になります。

フロートの劣化や破損

また、そもそもフロートが劣化や破損してしまい、「浮かない」と言うことになれば、バルブの開閉ができません。

ガソリンを溜めた容器にフロートを浮かべてみて、きちんと浮くかどうかのチェックが必要です。

浮いていても沈みそうな感じであれば、フロートしても役目は充分に果たせていないと言うことになり、交換が必要になります。

フロートの油面調整のミス

ガソリンの量によって、フロートがチャンバー内で浮いたり沈んだりするのですが、このフロートには適正な位置と言うものがあります。

一般的に「フロートレベル」と呼びますが、このフロートレベルの調整がずれている事でもオーバーフローの原因に。

適正な位置に調整されていないと、フロートが浮いてもバルブの締まりが緩くなってしまうと言うことですね。

キャブのオーバーフローの修理方法は?

キャブがオーバーフローを起こした時には、基本的に「オーバーホール」が必要になります。

一旦キャブレターを外して分解、清掃を行うと言うことですね。

バルブはフロートなどの劣化があれば、新品に交換をします。

ただ、キャブのオーバーホールは難易度が高い作業と言えます。

キャブは多くの細かい部品で構成されており、分解に清掃・組み上げるだけでも慣れていないと大変。

また、オーバーホール後にセッティングが狂い調子が悪くなることもあります。

もちろん、挑戦することは悪くないのですが、自信がない場合にはショップに依頼する方が良いかも知れません。

もし、自分でチャレンジする場合には、分解しながら写真を撮っておくと良いでしょう。

最後の組み立て時に、部品の場所がわからなくなってしまうのは良くあるケースです。

また、ごみや異物などの混入が原因の場合、軽くキャブを叩くと直ると言うこともあります。

叩いた衝撃で、詰まっていた異物が取れるとうケースですね。

ただ、このようなケースは運が良いだけとも言えます。

もし一時的に直っても、異物が混入している事が予想されますので、早めに対処する方が良いと言えます。

関連記事バイクのエンジンオーバーホールとは?掛かる費用の目安も解説

キャブレターのオーバーホールの費用

もし、ショップにキャブのオーバーホールを依頼すると、どれくらいの費用が掛かるのでしょうか。

あくまでも目安ですが

  • シングル(単気筒)・・・15,000円~
  • ツイン(2気筒)・・・20,000円~
  • トリプル(3気筒)・・・25,000円~
  • マルチ(4気筒)・・・30,000円~

くらいが相場でしょう。

エンジンが単気筒なのか、ツインなのか、はたまた4発なのかによって料金が変わってくるのが一般的です。

原付スクーターならもっと安くできるはずです。

また、繰り返しになりますが、あくまでも目安です。

ショップの工賃には差がありますので、もう少し安いケースもあれば、高いケースもあると言えます。

なかにはキャブレターを外して持ち込むと安くなると言うショップもあります。

いずれにせよ、事前に見積もりを取ってみると良いでしょう。

オーバーフローの症状は外側だけでなく内側のケースもある

キャブレターがオーバーフローを起こすと、オーバーフローパイプによって外部に溢れてくるのが一般的な症状。

そのため、すぐに気づくことも多いと言えます。

ただ、実は内側(シリンダー内)にもガソリンが溢れてしまうというケースもあります。

この内部へのオーバーフローは非常に厄介で、ウォーターハンマー現象を起こしエンジンに致命的なダメージを与えてしまう事があります。

ウォーターハンマー現象とは

通常、ガソリンエンジンはガソリンと空気の混合気を圧縮して燃焼しています。
ただ、シリンダーの内部に水が入り込んでしまうと、圧縮が困難になり、圧縮のパワーがコンロッドを曲げてしまう現象。シリンダーブロックが破損することも。
大雨や水没などでシリンダー内に水が入る事が原因ですが、オーバーフローによるシリンダー内へのガソリン流入でも起きる事があります。

ウォーターハンマー現象が起きてしまうと、エンジンのオーバーホールや場合によってはエンジンの乗せ換えなど、高額な修理費用は避けられません。

そのため、オーバーフローを甘く見てはいけないと言うことになります。

まとめ

  • キャブレターのオーバーフローとはガソリンが溢れてしまう不具合のこと
  • オーバーフローはフロートやフロートバルブの不具合や異物の混入などで起こる
  • オーバーフローを起こしたら、キャブのオーバーホールが必要になる
  • キャブのオーバーホールは初心者には難易度が高いので、自信がない場合にはショップに頼むと良い
  • シリンダー内へのオーバーフローは致命的な故障の原因にもなり得る
※本記事は2019年12月に記載し、2024年3月に更新しています。ご活用の際は、有用性を確認くださいますようお願い致します。