街中で、堂々とノーヘルで走っている3輪バイクを見かける事があります。
多くは、配送で良く使われる「ジャイロキャノピー」などが多いと思いますが、白バイの警官も捕まえようとはしません。
これは、きちんと法律上で認められた「ミニカー登録」がされているバイクのため。
ミニカー登録済みの原付バイクは、普通自動車扱いになるのでヘルメットの着用義務が無いと言う訳ですね。
他にも、ミニカー登録された原付はメリットも多いのです。(デメリットもあります!)
ここでは
などについて詳しく解説しています。
そもそもミニカーとは?
まず、そもそもミニカーとは何でしょうか。
ミニカーとは、道路交通法(及び施行令)上では「総排気量〇・〇五〇リツトル以下又は定格出力〇・六〇キロワツト以下の原動機を有する普通自動車」とされています。
少し難しいので、簡単に言うと、
「50㏄以下(0.6kw以下)のエンジン(モーター)の普通自動車」
のこと。
50㏄と言うと、原付スクーターが身近ですが、4輪でも50㏄以下のものがあります。光岡自動車の「MC-1」やトヨタ車体の「COMS」などが有名ですね。
軽自動車よりもずっとコンパクトな車です。
つまり、原付バイクを改造してミニカーの登録をすることで、普通自動車扱いになりノーヘルで運転することが可能になると言うことになります。
また、ミニカーの登録がされると、青(水色)のナンバープレートが交付されるのも特徴です。
ミニカーと3輪原付の違いは?
同じ50㏄以下でも、「普通自動車」と「原付」の区分があるという事になりますが、違いは何でしょうか。
先に結論から言うと、輪距によってミニカーと原付に区分されているのです。
「輪距」(りんきょ)とは、自動車の左右の車輪の中心間の距離のこと。トレッドとも言います。
ざっくり言うと、
と言うことになります。
法律上の根拠も含め、もう少し深堀して解説しますね。
まず、「原付(原動機付き自転車)」の定義を確認してみます。
(原動機付自転車の総排気量等の大きさ)
引用:道路交通法施行規則
第一条の二 道路交通法(昭和三十五年法律第百五号。以下「法」という。)第二条第一項第十号の内閣府令で定める大きさは、二輪のもの及び内閣総理大臣が指定する三輪以上のものにあつては、総排気量については〇・〇五〇リツトル、定格出力については〇・六〇キロワツトとし、その他のものにあつては、総排気量については〇・〇二〇リツトル、定格出力については〇・二五キロワツトとする。
つまり、道路交通法(施行規則)では
を、「原付(正しくは原動機付自転車)」と定義しています。
二輪の場合は、50㏄以下なら全てが原付に該当するわけですね。
ポイントは、「内閣総理大臣が指定する3輪以上」のもの。
この条件は
車室を備えず、かつ、輪距(二以上の輪距を有する車にあつては、その輪距のうち最大のもの)が〇・五〇メートル以下である三輪の車及び側面が構造上開放されている車室を備え、かつ、輪距が〇・五〇メートル以下である三輪の車
平成二年十二月六日総理府告示第四十八号
となっています。
つまり、
このどちらかに該当するものは、総排気量50㏄まで(定格出力0.6kwまで)なら原付扱いになると言うことですね。
車室とは、個室状の運転席のこと。
前者は「ジャイロX」、後者は「ジャイロキャノピー」をイメージするとわかりやすいと思います。
どちらも原付バイクに該当するように、輪距は50センチ以下におさえてあります。
つまり、3輪以上のもので、輪距が50センチを超えるものは「普通自動車」の扱いになると言うことですね。
原付3輪をミニカー登録した時のメリットとデメリット
原付の3輪をミニカー登録すると、道路交通法上では「普通自動車」の扱いになります。
これによって、生まれるメリットは
と言うことでしょう。
50㏄の原付バイクで煩わしい、30km制限や、二段階右折の義務がなくなるのは大きなメリットでしょう。
ただ、デメリットもある事は認識しておくべきでしょう。
と言うことです。
50ccでも普通自動車扱いになるので、当然、普通自動車免許が必要。
原付免許しか持っていない人が運転をすると、無免許運転になってしまうので注意が必要です。
また、交通違反を犯したときも、普通自動車扱い。
原付の場合には、反則金が車よりも安いのが一般的ですが、キッチリ普通自動車扱いの反則金です。
また、年一回の税金(軽自動車税)も割増に。
それから、一番注意が必要なのが任意保険。
ファミリーバイク特約も同じですが、「保険会社によって」は加入できない事も。(基本的には加入できるはずですが、全てではありません)
必ず、ミニカー登録をする前に、保険会社に確認をしておきましょう。
ミニカーでも道路運送車両法上では「原付扱い」
ミニカーで登録すると、普通自動車の扱いになります。
ただ、これは「道路交通法」での話。「道路運送車両法」ではミニカー登録をしても原付扱いのままです。
具体的な影響を簡単に言うと、3輪の原付バイクをミニカー登録しても
と言うことです。
高速道路の走行や、車検を受ける義務、購入時の車庫証明。
いずれも、普通自動車の場合には当たり前のことですね。
ただ、「道路運送車両法上はミニカーでも道路運送車両法では原付扱い」である以上、上記のような扱いになると言うことです。
原付バイクをミニカー登録する方法
原付をミニカー登録するには、
この2つが必要になります。
ミニカー登録ができる車両(必要な改造)
ミニカー登録をするには
と言う条件を満たしている事が必要です。
バイクのミニカー登録で多いのは、ジャイロXやジャイロキャノピーなどの3輪スクーターをミニカー登録するケースでしょう。
例えばノーマルのジャイロの場合、原付に該当するように輪距が50センチ以下になっています。
そのため、輪距を50センチ以上に広げればミニカー登録が可能と言う訳ですね。
良くある手法としては、スペーサーを噛ませて広げたり、ワイドタイヤを履かせて広げる手法。
ジャイロの場合であれば、専門のカスタムショップが対応パーツを販売しているので相談してみると良いでしょう。
ミニカー登録が可能な車体も販売されています。
もちろん、条件を満たしていれば、 ジャイロ以外の3輪バイクや、トライク、4輪バギーなどでもミニカー登録が可能です。
ミニカー登録の手続きは市区町村役場で
車両がミニカーの条件を満たしていれば、あとは行政上の手続き。
原則、住民票のある市区町村役所で行います。
手続き自体は簡単で
を揃えて、役所に行くだけです。
ただ、⑤については各市区町村によって異なりますので、事前に聞いておくとスムーズです。
基本的には、輪距が50センチ以上ある事が証明できる写真が必要なのですが、「メジャーを当てた写真」が必要であったり、「必要な撮影箇所や枚数」、「アングル」が決まっている事も。
各市区町村で専用の申請書がある場合もあります。
そのため、二度手間にならないように、事前に確認をしておきましょう。
また、現車を持ち込む必要はなく、書類上の手続きだけで大丈夫です。
もし、新たにミニカーを購入する場合には、「標識交付証明書」や「ナンバープレート」はありません。
その代わりに、購入店から「販売証明書」をもらって、新たに登録の手続きをします。
(ショップで購入した場合は、登録手続きを代行してくれることがほとんどです)
関連記事≫原付バイクの標識交付証明書の再発行に必要な書類と手続き方法
関連記事≫原付の名義変更の方法と必要書類を詳しく解説!(50㏄&125㏄)
まとめ
原付のミニカー登録は、利便性も非常に高いと言えます。
特に、30km制限や二段階右折の制限がなくなる事は、都心や繁華街で急いでいる時には有難いものです。
(デリバリー系の仕事でミニカー登録が人気なのもわかりますね。)
また、ミニカー登録をするとヘルメットの着用義務がなくなります。
ただ、安全面を考えると、ミニカーでもヘルメットだけは被って運転することを強くおすすめします。