バイクはエンジンで発生した駆動力を、リアタイヤに伝達することで走る事ができます。
リアタイヤが回ってバイクが進むことは、ほとんどの人が理解している事でしょう。
この、駆動力を伝達する役割を担っている仕組みのひとつが「シャフトドライブ」です。
ただ、シャフトドライブは全てのバイクに使われているわけではありません。
そのため、
「シャフトドライブって何?」
「シャフトドライブって聞いたことはあるけど良く分からない」
と言う人も居ると思います。
ここでは
などについてわかりやすく解説しています。
バイクのシャフトドライブとは何?
冒頭でも触れましたが、「シャフトドライブ」とは、エンジンが生み出す駆動力をリアタイヤに伝達するシステムの一種です。
バイクの動力は、エンジン内部で混合気(ガソリン)が爆発し、ピストンが上下運動をすることで発生します。
このピストンの上下運動がクランクで回転運動に変わり、リアタイヤに伝わります。
リアタイヤに駆動力を伝える部品として、
の3つがあります。
最近のバイクは、その多くがチェーン(ドライブチェーン)方式を採用していますが、シャフトを使っている動力の伝達方式をシャフトドライブ(シャフト駆動)と呼ぶと言うわけですね。
※シャフトドライブのバイクはチェーンが無く、代わりにシャフトで動力を伝達します。
シャフトドライブの仕組み
シャフトドライブは、簡単に言うと「金属の棒(シャフト)」を回転させる仕組み。
シャフトの両端が歯車状になっていて、エンジンからの回転運動を、シャフトを通してリアタイヤに伝えていると言うことです。
ちなみに、前述のとおりチェーンやシャフト以外にも、「ベルト」を使っているベルトドライブもあります。
ベルトドライブの仕組みは、チェーンと同じ。
金属製のチェーンをしようしているか、ベルトを使用しているかの違いと言うわけです。
ベルトドライブはスクーターやハーレーなどに良く採用されていますね。
シャフトドライブのメリットとデメリット
では、チェーンではなく、シャフトドライブを採用するメリットは何でしょうか。
シャフトドライブのメリットとしては
と言うことが挙げられます。
チェーンの場合、剥き出しになっているため、雨や汚れ、錆などの影響を受けやすいと言えます。
そのため、定期的なメンテナンスも必要となり、チェーンが伸びれば交換も必要になります。
一方で、密閉されているシャフトドライブにおいては、劣化もしにくく、メンテナンスの頻度の少なくて済みます。(メンテナンスが不要と言うわけではありません。)
また、遊びのあるチェーンとスプロケットとは違い、ダイレクトにパワーをリアに伝達することができると言うわけです。
このように、シャフトドライブにはメリットは多いのですが、デメリットも存在します。
具体的には、
と言うことが挙げられます。
そのため、スポーツ性の高いSSやレーサーレプリカタイプにはシャフトドライブが採用されることは少ないと言えます。
一方で、もともと重量のある大型ツアラーやクルーザータイプ、メガスポーツなどにはシャフトドライブが採用されることも多いです。
特に、BMWなどはシャフトドライブを積極的に採用するメーカーと言えるでしょう。
ただ、シャフトドライブを多く採用するBMWでも、スポーツ走行を重視するS1000RRなどにはチェーンドライブを採用していると言うわけですね。
シャフトドライブには癖があるってホント?
シャフトドライブに乗ったことがある(乗っていた)ライダーの中には、「シャフトドライブには癖がある」と言う人も多いです。
この「癖」とはどのようなモノなのでしょう。
シャフトドライブのバイクの場合、加速時にバイクの後部が浮くような動きや、減速したりエンジンブレーキを掛けた時にバイクの後部が沈むような動きをすることがあります。
これは、一般的には「トルクリアクション」と呼ばれる動きで、ドライブシャフトが回転する事が要因となっています。
確かに、このような「癖」があるのは事実ですが、この動きを好きと言うライダーも少なくなりません。
また、バイクの技術の進化によって、この上下運動のトルクアクションもかなり軽減されていると言えます。
最近ではシャフトドライブでも、ほとんど気にならないと言うバイクも多いです。
逆に、昔のシャフトドライブのバイクの方が、癖を強く感じると言えます。
バイクを購入する際に気になるようであれば、事前に試乗してみると良いでしょう。
バイクでシャフトドライブの車種
シャフトドライブは、大型のツアラーやクルーザーなどで採用されている事が多いのは前述の通りです。
では、具体的にはどのような車種に採用されているのでしょう。
もちろん、全ての車種を網羅するのは難しいので、代表的な車種を挙げてみましょう。
BMWのシャフトドライブの車種
BMWはシャフトドライブを多く採用していることで有名です。
具体的に、現行車であれば、R1250RS、R1250RT、K1600GT、R1250R、RnineT、R1250GSなどがシャフトドライブ 。
RシリーズやKシリーズはドライブシャフトと採用しています。
一方でS1000R、S1000RR、S1000XR、F850GS、F750GS、G310R、G310GSはチェーンドライブ。
Sシリーズ、Fシリーズ、Gシリーズはチェーンという感じですね。
MOTO GUZZI(モトグッツィ)のベルトドライブの車種
モトグッツィはBMW以上にシャフトドライブのイメージが強いメーカー。
V7レーサー、V7Ⅲ、V85TT、V9 Bobberなど。
基本的には最近のバイクは全てシャフトドライブではないでしょうか。
「空冷縦置きのV型2気筒エンジンとシャフトドライブの組み合わせ=モトグッツィ」ですね。
逆にシャフトドライブ以外の車種が思いつかないくらいです・・・。
トライアンフのシャフトドライブの車種
TIGER 1200、TIGER エクスプローラー、Rocket 3など。
トライアンフのタイガーシリーズは、800はチェーンですが1200にはシャフトドライブを採用しています。
ホンダのシャフトドライブの車種
ホンダのシャフトドライブと言えば、やっぱりGL(GOLDWING)でしょう。
現行のGLも、昔のGLもシャフトドライブです。
GOLDWING、VFR1200F、VFR1200X、CTX1300、シャドウクラッシック、シャドウファントム、DN-01などがシャフトドライブでしたね。
古いバイクではGL500、ST1300、CBX750ホライゾン、VF750セイバー、NV400などもシャフトドライブ採用でした。
ヤマハのシャフトドライブの車種
筆者は、ヤマハのシャフトドライブと言えば、ドラッグスターのイメージが強いです。
今でも入手しやすい車種でいえば、FJR1300、XT1200Zスーパーテネレ、V-MAX1700、V-MAX1200、ドラッグスター1100、ドラッグスター400などでしょう。
また、古いバイクで言えばGX750、XJ650などがシャフトドライブでした。
カワサキのシャフトドライブの車種
カワサキもシャフトドライブのバイクを出していました。
比較的新しい所では1400GTR。
それから、アメリカンのバルカンシリーズ。バルカンは、最近のバルカンSではなく、ひと昔前のバルカンシリーズです。
バルカンは、排気量なども含めてかなり多くのラインナップがありました。
そのため、年式や種類によっては、ベルトドライブのものがあったり、チェーンもあったり、かなり複雑です。
ただ、シャフトドライブのバルカンもあったのは間違いありません。
具体的なカワサキのシャフトドライブは1400GTR、ELIMINATOR900/400、KZ1300、Z1000ST、Vulcan 750、Vulcan 1500 Drifter、Vulcan 1500 Classicといったところでしょうか。
スズキのシャフトドライブの車種
スズキのシャフトドライブはあまり思いつかないのですが、イントルーダーやブルバードがシャフトドライブを採用していましたね。
ブルバードM109R、ブルバード800/400、イントルーダー750/400
古いバイクではGS750G、GS650Gなど。
まとめ
昔、初めて乗ったシャフトドライブのバイクが、ホンダのNV400というバイクでした。
Steed400の前身となったバイクですね。
このNV400はアクセルを開けた時に、シャフトが回転する「ギュルギュル」と言う音が聞こえたのを覚えています。
最近のシャフトドライブはとても進化していますが、昔のシャフトドライブは癖や味があったのも事実ですね。
機会があれば、シャフトドライブのバイクも一度乗ってみると良いかも知れませんね。