最近のバイクの始動方法は、ほとんどがセルフ式(セル)。
そのため、セルが回らないとエンジンを掛ける事ができません。
「バイクに乗ろうと思ったらセルが回らない!」
こんな時、ちょっと焦ってしまいますよね。
ただ、こんな時は落ち着いて考えられる原因をひとつずつ探っていくしかありません。
そのため、ここでは、
などについて解説しています。
また、セルモーターは回るけどエンジンが掛からない!という場合には
以下の記事を参考にしてみて下さい
関連記事≫バイクのエンジンがかからない!原因と確認するポイントを解説!
バイクのセルが回らない時の原因は?
セルモーターが回らない場合、その原因は主に
と言うことが考えられます。
当然、パーツ自体が故障してしまっている場合には、修理や部品の交換が必要になります。ただ、単純な確認ミスでセルが回らないと言うことも。
そのため、セルが回らない時には、焦らずにひとつずつチェックしていくと良いでしょう。
キルスイッチが作動している
バイクにはキルスイッチと言うものが付いています。
簡単に言うと、安全装置のようなものですが、キルスイッチが作動しているとセルが回りません。(※車種によっては、セルモーターは回るけどエンジンが掛からないという仕様のバイクもあります。)
キルスイッチはハンドルのすぐそばにあるので、間違って作動させてしまう事も。
そのため、まずはキルスイッチがON(作動状態)になっていないかを確認してみましょう。
関連記事≫キルスイッチの役割とは?良くあるトラブルや故障時の修理方法
クラッチやブレーキを握っていない
これは、バイクの車種にもよりますが
と言うことがあります。
普段から乗り慣れているバイクなら、このようなミスは少ないと思います。
ただ、初めて乗るバイクや、普段乗らないバイクの時には知らずに(忘れていて)焦ってしまう事もあるでしょう。
サイドスタンドが出ていてニュートラルに入っていない
バイクの安全装置のひとつに、サイドスタンドセンサーが付いている車種もあります。
これは、サイドスタンドが出ているままでバイクが発進しないための安全装置。
一般的なサイドスタンドセンサーの場合、サイドスタンドが出ている(起きている)状態の時には「ギアがニュートラル」でないとセルが回りません。
逆に言えば、ニュートラル状態でない時は、サイドスタンドが上がっていないとセルが回らないと言うことですね。
そのため、サイドスタンドが出ている時には
を確認してセルを回してみましょう。
バッテリーが上がっている
安全装置やセンサー関連の確認ミスでない場合には、もう少し踏み込んで確認していく必要があります。
セルが回らない時に、非常に多い原因のひとつが「バッテリー上がり」と言えます。
セルモーターを回す時には、とても大きな電気を使います、
そのため、バッテリーが上がっていたり、弱くなっている状態ではセルモーターが回らないと言うわけですね。
特に、長期間乗っていないバイクでセルが回らないようなケースがバッテリー上がりの可能性も高くなります。
バッテリーが上がっている(弱っている)状態の時には、
と言うような症状が出ます。
関連記事≫バイクのバッテリー上がりの症状や原因は?上がった時の対処法も解説
このような時にはバッテリー上がりの可能性が非常に高いと言えますが、正確にチェックするには、テスターで電圧を測るのが一番です。
正常な状態であれば12.5Vの電圧があるので、テスターがあれば測ってみると良いでしょう。
テスターは安いものなら1,000円以下で購入できるので、ひとつもっていると便利ですよ。
ヒューズが切れている
バッテリー上がりではない時には、ヒューズが切れていないかをチェックしてみましょう。
原因としては、それほど多いケースではありませんが、ヒューズ切れを起こしてもセルが回りません。
ヒューズボックスの中にIGNITION(イグニション)と言うヒューズがあり、これがセルに関連するヒューズです。
また、メインヒューズが切れている場合にも、当然電気が流れないのでセルが回りません。
ヒューズを確認してみて、切れている場合には交換が必要になります。
関連記事≫バイクのヒューズとは?役割や切れた時の交換方法を解説!
配線やスイッチなどの接触不良
安全装置やバッテリー、ヒューズに問題が無ければ、スターターリレーやセルモーター自体の故障も考えられます。
ただ、その前に、接触不良という可能性も確認しておくと良いでしょう。
また、セルスイッチ(スイッチボックス)から出ている配線をゴニョゴニョ動かしてみたら、セルが回りかけた!
接触不良の時にはこんなケースも。
スイッチボックスはドライバー一本で開ける事ができます。
錆びや汚れがひどければ掃除する。また、接点復活剤を吹いてみるのも良いと思います。
また、前述のキルスイッチやサイドスタンドセンサーの接触不良と言う場合もあるので、慌てずに何度かON/OFFにしてみたりして確認してみると良いでしょう。
また、もし接触不良であった場合は、接触不良が起きている箇所を直さないと根本的な解決にはなりません。
セルが回ったからといって、そのまま放置するとまた同じ現象が起きたり、完全に通電しなくなる恐れがあります。
もし、自分で直せない時にはバイクショップに相談して直してもらうようにしましょう。
スターターリレーが故障している
セルモーターを回すには、非常に大きな電力を必要とするのですが、そのためには太い配線が必要になります。
ただ、その太い配線をセルのスイッチまで繋ぐと効率が悪くなってしまいますし、大きな電流がスイッチまで流れて危険もあります。
かと言って、太い配線と細い配線に直接つなぐと内部の抵抗が異なるために不具合を起こしてしまいます。
これを解消するのがスターターリレー。
スターターリレーは、セルモーターとバッテリーの間にある部品で、電磁石の仕組みを活用して、太い配線と細い配線のつなぎ役をしていると言うことですね。
このスターターリレーが故障すると、当然セルモーターへ通電しないためセルが回りません。
スターターリレーは、正常な場合セルスイッチを押すと「カチカチ」と言う音がします。
そのため、スイッチを押してみてリレーから「カチカチ」音がしない場合には、リレーの故障が疑われます。
(※バッテリーがひどく弱っている時もカチカチ音がしないケースがあります。)
ただ・・・カチカチ音がするからと言って、リレーが正常とは断定できません。
リレーが故障していても「カチカチ」音が鳴ることがあるからです。
正確にリレーの状態を判断するには
という方法があります。
これでセルモーターが回ればリレーに問題があると言うことですね。
ただ、この診断方法は専門知識がないと、非常に危険でもあります。
(大きな電気が流れるので、知識がない場合にはやめておきましょう。)
そのため、バイクに詳しい人やバイクショップに相談することをおすすめします。
関連記事≫バイクのリレーって何?初心者向けにわかりやすく解説!
セルモーターが故障している
エンジンが掛かるには、クランク軸を強制的に回転させることが必要です。
これを担っているのがセルモーター。
ちなみに、セルが無いバイクは人の力でクランクを回転させてエンジンを始動していますよね。いわゆる、キックスタートですね。
関連記事≫バイクのキックスタートの方法&かからない時のチェックポイント
スターターリレーまで正常に電気が流れていても、セルモーターに不具合があれば当然セルモーターが回りません。
とは言っても、セルモーター自体の故障はそれほど頻繁に起こるものではないとも言えます。
ただ、セルモーターにはブラシ(カーボンブラシ)と言うパーツがあり、ブラシの摩耗で導通が悪くなると言うケースもあります。
そうなると、セルが回らない原因になると言うことですね。
(もちろん、構成パーツの破損や劣化で故障するケースもあります。)
ちなみに、ブラシと言うと歯ブラシのようなブラシをイメージする人も多いと思いますが、セルのブラシはカーボン製で四角いものです。
セルモーターの故障診断も、バイクに詳しくない場合には少々難易度が高いと言えます。
具体的には、スターターリレーの時と同じなのですが
と言う方法。
これで、セルが回ればリレーの故障、セルが回らなければセルモーター自体の故障の可能性がかなり高いと言うわけですね。
ただ、前述の通りですが、バッテリーから直接電気を送るのは危険もあります。
バイクや電気に詳しくない場合には、バイクショップなどに相談することをおすすめします。
まとめ
セルが回らない「主な原因」を紹介しましたが、厳密に言えば他にも可能性はいくつか考えられます。
配線(ハーネス)の断裂やショート、イグニッションキーの故障などでもセルが回らなくなります。
バイクに不具合が起きた時には、症状をもとに、簡単な場所からひとつずつ原因を潰していくのが基本ですが、中には判断が難しい事もあります。
特に、電気系は複雑な事もあるので、もし自分で判断がつかない場合には早めにバイクショップに相談する方が近道と言うケースもあります。