マニュアルのバイクに乗っていると、クラッチ操作は必ず付いてきます。
クラッチ操作で多い悩みが「クラッチが重くて疲れる」というもの。
「長距離のツーリングで握力が無くなる」
「市街地で、何度も繰り返しクラッチレバーを握るとすごく疲れる」
「クラッチが重くて手が痛くなる」
このような人は多いようです。
そのため、ここでは
などについて、詳しく解説しています。
クラッチレバーが重い原因は?
筆者が今まで乗った事があるバイクで、一番クラッチが重かったのは古いハーレー。
アイアンショベルと呼ばれる古いスポーツスターでしたが、クラッチレバーを握ると、まるで「筋トレのハンドグリップ」を握っているかのよう。
翌日、筋肉痛になるというバイクでした。
このように、「もともとクラッチが重いバイク」と言うのも存在しますが、「メンテナンス不足」で重くなってしまっていると言うケースもあります。
いずれにせよ、重いクラッチだと疲労感が凄いので、できる事なら改善したいものです。
では、クラッチが重い原因は何でしょうか。
主に、
などが考えられます。
状況によって異なりますが、クラッチを軽くするための対策はありますので、紹介していきましょう。
クラッチの整備・調整で軽くする
まずは、クラッチのメンテナンス不足や調整不足が原因と思われるケースの対策です。
比較的、費用が掛からない対策と言えるでしょう。
クラッチワイヤーの油分切れや汚れ
ワイヤー式のクラッチの場合、ワイヤーの油分が切れているケースがあります。
ワイヤーの潤滑が無くなってしまって、重くなっていると言う訳ですね。
この場合にはワイヤーの注油(グリスアップ)をします。
クラッチワイヤーへの注油は、比較的簡単にできるメンテナンスですが、ショップに依頼する場合には、2,000円前後~でしょう。
もし、注油をしても重い場合には、ワイヤーケーブルに汚れが詰まっている事も考えられます。
清掃をしたうえで注油をするようにしてみてください。
クラッチワイヤーの劣化や錆
ワイヤーの油分切れだけではなく、錆が酷いなど劣化が進んでいる場合には、新品のワイヤーに交換してしまうことをおすすめします。
劣化が進んでいるワイヤーは、いつ切れてもおかしくありません。
ツーリング中にクラッチワイヤーが切れて自走できなくなると言うのも良くある話です。
こうなると、近くのバイク屋に駆け込むか、無ければロードサービスを呼ぶしかありません
クラッチワイヤーの交換は、ショップに依頼した場合には3,000円前後~(工賃のみ・部品代別)が相場です。
フルードの劣化
油圧式クラッチの場合には、フルードの劣化が原因でクラッチが重くなっている事もあります。
この場合には、フルードの交換を行うことで改善することもあります。
また、併せてマスターシリンダーとレバーのグリスアップもしておくと、尚良いでしょう。
フルード交換は、ショップに依頼すると2,000円前後~が相場です(工賃のみ)
クラッチの取り回し
このような時には、クラッチワイヤーの取り回しに問題があるケースも。
ワイヤーが妙に長く飛び出ていたり、不自然な取り回しになっている場合には、ケーブルの中でワイヤーが干渉をしている事もあると言う訳ですね。
また、常にテンションが掛かっている状態であれば、最悪の場合には切れてしまう原因にもなります。
クラッチワイヤーの取り回しをチェックしてみるのも必要です。
クラッチレバーの位置や遊びの調整
意外と重要なのがクラッチレバーの位置。
レバーがあまりに下向きに付いている場合には、握る際の力が入りにくい事も。
握りやすい位置(向き)になっていなければ、調整するだけで改善するケースもあります。
レバーの向きはクランプを緩めるだけで簡単に調整できます。
また、クラッチレバーの遊びの調整。
通常はクラッチレバーを握るときに、クラッチが切れるまでの「遊び」があります。
ワイヤー式の場合には、レバーのアジャスターを調整することで、この「遊び」の幅を調整することができます。
クラッチが切れる位置を、自分の好みに合わせてみると軽く感じる事もあります。
ただ、あまりやりすぎると、常に半クラ状態になってしまったり、クラッチが切れなくなってしまう事もあるので、注意しながらやる必要があります。
関連記事≫バイクのクラッチが切れない!原因と対処法をわかりやすく解説
クラッチレバーなどパーツの交換やカスタムで軽くする
整備や簡単な調整でも変化がない場合には、クラッチレバーなどパーツを交換したりカスタムをする方法もあります。
この場合には、コストも掛かりますが大きな変化も期待できます。
クラッチレバーを交換する
昨今では、
と言うような名称で、社外のレバーが各パーツメーカーからリリースされています。
角度の調整ができたり、「てこ」の原理を利用し握る力を軽減できるものまで種類も様々です。
どんなレバーを選ぶかにもよりますが、改善が期待できる手法のひとつです。
また、手の小さい人は、レバーを変えるだけで大きく変化することも良くあります。
購入時には、汎用品もありますが、適合車種が決まっているレバーもあるので注意が必要です。
ショップに交換をお願いすると、2,000円~4,000円程度でしょう(工賃のみ)。
ただ、あくまで工賃なので、パーツ代は別途です。レバーは数千円~1万円以上までピンキリです。
カスタムでクラッチを軽くする
レバー交換もカスタムのひとつと言えますが、もっと大掛かりなパーツ交換やカスタムをするという方法もあります。
例えば、
等です。
これらの変更、カスタムの場合にはある程度の費用が掛かります。
また、それなりの技術が必要になってきますので、バイクのメカに詳しくないのであれば、ショップに相談する方が良いでしょう。
(イージークラッチは安価ですが、意外と適切な調整は難しかったりします。)
関連記事≫バイクのクイックシフターとは?取付けや値段(工賃)はいくら?
関連記事≫バイクのスリッパークラッチとは?初心者向けにわかりやすく解説
握り方や乗り方を工夫する
ここまで見て来たように、クラッチの調整や整備、またはパーツ交換やカスタムをすることで、クラッチを軽くすることは可能です。
他にできる事と言えば、
と言う事でしょうか。
休憩や握力に関してはともかく、「握り方」に関しては「手だけで握るのではなく、腕や肩ごと引く」と良いという意見もあります。
たしかに、指を固定して肩ごとクラッチを引くようにすると、さほど握力を使わずクラッチを切ることができます。
ただ、運転中はバランスが崩れるという懸念もあります。
直線走行や、疲労が蓄積した時の緊急対応には有効かもしれません。
まとめ
ミッションバイクの楽しさのひとつが、クラッチ操作ではないでしょうか。
路面状況に応じてギアを変えたり、バイクを操っている感覚を味わえるのは、ミッション車の醍醐味です。
ただ、クラッチが重いと言うのは、結構なストレスです。
軽くすることは可能なので、自分でチャレンジしてみるか、不安な場合にはショップに相談してみることをおすすめします。
※2019年10月更新