バイクの基本的なメンテナンスのひとつがオイル交換でしょう。
エンジンオイルの交換は、基本的なメンテナンスであると共に、非常に大事なメンテナンスでもあります。
一般的には、バイクのオイル交換の時期や頻度は「3,000km~5,000kmに一度の交換」「半年たったら交換」と言われることが多いです。
ただ、このタイミングは全てのバイクに当てはまる訳ではありません。
ここでは、
などについて詳しく解説しています。
オイル交換の適切な時期や頻度はバイクによって違う
バイクのエンジンオイル交換は非常に大事なメンテナンスである事は間違いありません。
詳しくは後述しますが、エンジンオイルには様々な役割があります。
そのため、定期的にオイル交換をすることでバイクを良い状態で保つだけでなく、故障や不具合の防止にもなります。
ここで気になるのが、
「どれくらいの頻度(時期)でオイル交換をするべきか」
と言うことですよね。
いろいろな本や、ネットでの情報では
「3,000km~5,000kmに一度」
「もしくは半年過ぎたら交換」
という目安が「一般論」として知れ渡っています。
ただ、これは全てのバイクに該当するわけではありません。
厳密には、
などによって変わってくるのです。
メーカー推奨のオイル交換タイミングは結構長い
まず、参考になるのがメーカーの推奨交換時期。
バイクを作っているメーカーが言うことですから、信頼性は高いはずです。
いくつかのバイクの「マニュアル(取扱説明書)」に記載のある、エンジンオイルの交換時期をピックアップしてみたのが下記の表です。
【取扱説明書上のエンジンオイル交換時期】
メーカー | 排気量 | 車種 | モデル年 | オイルの交換時期 | 初回の交換タイミング |
ホンダ | 50㏄ | トゥデイ | 2011年 | 3,000kmまたは1年ごと | 初回は1,000㎞または1ヵ月 |
ホンダ | 50㏄ | スーパーカブ50 | 2012年 | 3,000kmまたは1年ごと | 初回は1,000㎞または1ヵ月 |
ヤマハ | 50㏄ | ビーノ | 2007年 | 3,000kmまたは1年ごと | 初回は1,000㎞または1ヵ月 |
ホンダ | 110㏄ | スーパーカブ110 | 2012年 | 3,000kmまたは1年ごと | 初回は1,000㎞または1ヵ月 |
ヤマハ | 125㏄ | シグナスX | 2009年 | 3,000kmまたは1年ごと | 初回は1,000㎞または1ヵ月 |
スズキ | 125㏄ | アドレス125 | 2015年 | 6,000kmまたは1年ごと | 初回は1,000㎞または1ヵ月 |
ホンダ | 250㏄ | CBR250R | 2012年 | 6,000kmまたは1年ごと | 初回は1,000㎞または1ヵ月 |
ヤマハ | 250㏄ | YZF-R25 | 2015年 | 5,000kmまたは1年ごと | 初回1,000km2回目5,000km |
カワサキ | 250㏄ | BALIUS-Ⅱ | 2007年 | 6,000kmごと | 初回1,000km |
ホンダ | 400㏄ | CB400SuperFour | 2014年 | 10,000kmまたは1年ごと | 初回は1,000㎞または1ヵ月 |
1992年 | 6,000kmごと | 初回1,000km | |||
ヤマハ | 400㏄ | SR400 | 2014年 | 3,000kmまたは1年ごと | 初回は1,000㎞または1ヵ月 |
カワサキ | 400㏄ | NINJA400R | 2013年 | 6,000kmまたは1年ごと | 初回は1,000㎞または1ヵ月 |
スズキ | 400㏄ | バーグマン400 | 2018年 | 6,000kmまたは1年ごと | 初回は1,000㎞または1ヵ月 |
ホンダ | 750㏄ | NC750X | 2014年 | 10,000kmまたは1年ごと | 初回は1,000㎞または1ヵ月 |
ヤマハ | 900㏄ | MT-09 | 2014年 | 10,000kmまたは1年ごと | 初回は1,000㎞または1ヵ月 |
ヤマハ | 1000㏄ | YZF-R1 | 2012年 | 10,000kmまたは1年ごと | 初回は1,000㎞または1ヵ月 |
カワサキ | 1000㏄ | Ninja1000 | 2018年 | 6,000kmまたは1年ごと | 初回は1,000㎞または1ヵ月 |
ホンダ | 1300㏄ | CB1300SuperFour | 2018年 | 10,000kmまたは1年ごと | 初回は1,000㎞または1ヵ月 |
1998年 | 10,000kmごと | 初回1,000km | |||
スズキ | 1300㏄ | 隼 | 2015年 | 6,000kmまたは1年ごと | 初回は1,000㎞または1ヵ月 |
もちろん、全てのバイクのマニュアルをチェックするのは困難ですから、50㏄~大型までランダムにピックアップしています。
メーカー・年式もランダムです。
一見、排気量が小さいと交換頻度が早く、大きなバイクは交換頻度が長いような傾向があるような気がしますね。
これは、小排気量のほうが、エンジンオイルの量が少ないのも大きな理由です。
ただ、オイル交換の頻度は排気量だけで決まっているわけではありません。
エンジンの冷却方式(空冷なのか水冷なのか)でも変わってきます。
空冷エンジンのSR400は、他のバイクよりも短い3,000kmでの交換が推奨になっていますね。
昔は空冷エンジンのバイクが多かった事も、「3,000km走ったら交換」という定説が根付く要因だったかもしれません。ただ、空冷エンジンは規制をクリアできずに、どんどん生産中止になり、今では水冷エンジンが主流になっています。
ちなみに、各メーカーのホームページには定期交換部品の交換時期が記載されています。
それをまとめたのが以下の表になります。
【メーカーHP上のエンジンオイル交換時期】
ホンダ | ◆空冷車 ※ドライサンプ車・オイルクーラー付車を除く |
◆250㏄以下の水冷 ◆ドライサンプ車 ◆オイルクーラー付車 |
◆251㏄以上の水冷車 |
3,000kmまたは1年ごと | 6,000kmまたは1年ごと | 1万kmまたは1年ごと | |
ヤマハ | ◆125㏄以下の水冷車 ◆50㏄の水冷スクーター ◆50㏄以上のオイルクーラー未装備の空冷車 |
◆250㏄の水冷車、 ◆ドライサンプの空冷車 ◆オイルクーラー付空冷車 ◆51㏄以上の水冷スクーター |
◆251㏄以上の水冷車 |
3,000kmまたは1年ごと | 6,000km毎または1年毎 | 1万kmまたは1年ごと | |
スズキ | ◆空冷車に適用 | ◆強制空冷車、 ◆油冷車及び水冷車 |
|
3,000kmまたは1年ごと | 6,000km毎または1年毎 |
空冷バイクの場合は、オイル交換の頻度やタイミングが早いことがわかりますよね。
エンジンオイルには「冷却」という役割があります。
クーラント(冷却水)でもエンジンを冷やせる水冷エンジンよりも、空冷エンジンはオイルの劣化が早いためです。
ただ、水冷エンジンで大排気量のバイクであれば、「6,000~10,000kmもしくは1年に1回のオイル交換」がメーカー推奨のタイミングでもあるのです。
意外と長くありませんか?
参考までに、上記の表のページリンクを貼っておきますね
結局、正しいオイル交換のタイミングはどれくらい?
一般論とされる、
「3,000km~5,000kmに一度の交換」「半年たったら交換」
というタイミングでオイル交換をしておけば、間違いはないでしょう。
常にオイルをフレッシュな状態に保つことは、バイクにとっても良いことです。
ただ、実際のメーカー推奨のタイミングは
この距離を走行したら(もしくは1年経過したら)オイル交換をするタイミングということですね。
とは言っても、メーカー推奨のタイミングだけを鵜呑みにするのではなく、バイクの使用状況によって交換タイミングを変える(早める)必要はあるでしょう。
例えばですが、
こんな時には、少し早めにオイル交換をしたほうが良いでしょう。
ちなみに、短距離、チョイノリしか乗らないバイクの場合には、「オイルの油温が上がりきらない」「オイル内に混じった水分が蒸発しきらない」という原因で、普通に乗るバイクよりもオイルの劣化が早いのです。
また、走行距離ではなく期間での交換目安は、1年というのがメーカー推奨になっています。
ただ、昨今の夏は非常に気温が上がり、30℃どころか35℃以上になることも珍しくはありませんよね。
この酷暑の中で、それなりに走る場合にはオイルの劣化も進みます。
そのため、前回のオイル交換から1年経っていなくても、夏というのはオイル交換のタイミングとしてもおすすめです。
夏前にオイル交換をしておくことは、オーバーヒートの防止対策にもなります。
結論としては、
「メーカー推奨のオイル交換時期を目安としながら、状況に応じて早めにオイル交換をする」
と言うのが正しい交換タイミングです。
オイルは劣化していきますので、新しいオイルの方がエンジンにとって良いことは間違いありません。
「まだ1年経っていない」「まだ指定の距離を乗っていない」と、ギリギリまで待つ必要はなく、バイクの事を考えたら早めにオイル交換をすることは非常に良いと言う訳です。
そのため、「排気量」や「空冷or水冷」などを考慮せずにひとことで言うなら
「3,000km~5,000kmに一度の交換」「半年たったら交換」
というのも、あながち間違いではないということになります。
関連記事≫バイクのオーバーヒートの原因や症状は?夏の渋滞には特に注意!
新車の場合は初回のオイル交換は早めに
また、バイクを新車で購入した時には、少し状況が変わります。
前述の表にもある通り、新車購入後、初回のオイル交換は「1,000km、もしくは1か月経過時」とされています。
これは、新車ならではの特徴ですが、初めのうちはピストンやシリンダーなど、エンジン内の部品のバリ(金属粉)などがエンジンオイルに含まれるためです。
新車購入時は、初回のオイル交換と点検を無料でやってくれるケースがほとんどですので、忘れずに行うようにしましょう。
オイル交換が重要な理由とオイル交換の効果
エンジンオイルの交換は、とても重要なメンテナンスと言われています。
何故なのでしょうか。
エンジンオイルには、
の5つ(6つ)の役割があります。
エンジン内の金属同士の動きを滑らかにする潤滑作用が思い浮かびますが、そのほかにも、エンジン内の隙間を防ぐ密封作用、エンジンの熱を冷ます冷却作用、エンジン内の金属粉やスラッジなどの汚れを落とす洗浄作用、錆を防ぐ防錆作用、(シリンダー内の爆発の衝撃を抑える緩衝作用)があるということですね。
バイクのエンジンを良い状態に保つために、オイルが担う役割はとても大きいのです。
そのため、エンジンオイルが劣化すると、これらの役割を十分に果たすことができなくなって、エンジンへの負担が掛かり、最悪は故障の原因になるということです。
よくある例え話ですが、「エンジン=心臓」「オイル=血液」に例えられます。
バイクの要であるエンジン(心臓)を正常に動かすという意味では、オイル(血液)が正常な状態であることがとても大事ということですね。
そういう意味では、早めにオイル交換をすることは、メリットはあってもデメリットはないでしょう。
また、場合によっては、オイル交換をすることで、エンジンの音が静かになったり、燃費が良くなった、加速がスムーズになったことを体感できるケースもあるでしょう。
オイルフィルターも交換が必要
エンジンオイルの交換をするときには、フィルター(エレメント)の交換もする必要があります。
エンジンオイルには「洗浄作用」がありますが、オイル内に混じったスラッジや金属粉を取り除いているのがフィルター(エレメント)です。
ただ、フィルターは毎回交換する必要はありません。
もちろん、オイル交換のたびに変えても問題はありませんが、オイル交換2回に対してフィルター交換は1回の頻度が適切と言われています。
ただ、新車購入時の初回オイル交換の時には、フィルターも変えましょう。
慣らし運転による、金属粉などが多量に出るためです。
オイル交換はどこですれば良い?
オイル交換の重要性や、時期(タイミング)がわかると、次に気になるのは、どこでオイル交換をするかです。
一般的には、
の3パターンでしょう。
ガソリンスタンドでもできる場合もありますが、最近はバイクは非対応のガソリンスタンドが多いです。
ある程度、バイクに知識がある場合や、チャレンジしてみたい場合には、自分でオイル交換をするのもおススメです。
エンジンオイル交換なら、それほど大変なメンテナンスではありません。
また、もしバイクを購入したてで、買ったショップが近い場合には、初めのオイル交換は購入ショップに持っていくことをおすすめします。
自分のショップで販売したバイクであれば、オイル交換のついでに簡単な各部のチェックもしてくれるのが普通だからです。
新車の場合であれば、初回のオイル交換工賃や点検工賃は無料で対応してくれるケースがほとんどです。
(工賃は無料でもオイル代は実費の場合あり)
購入店が近くにない場合や、中古で購入した時には、NAPSや2りんかんなどの用品店でもオイル交換ができます。
用品店でオイル交換をするメリットは、オイルの種類の豊富さ。
純正オイルから、高級オイルまで品揃えが豊富なので、好きなオイルが選べます。
どれが良いかわからない場合には、純正を選んでおけば大丈夫ですし、店員さんに相談すればアドバイスを貰えるでしょう。
また、エンジンオイルはバイクによって必要な量が違います。
そのため、購入したオイルが余ってしまうことも良くあります。
大手用品店の場合には、「量り売り」(そのバイクに必要なオイル量だけ)ができる事もあるのが魅力です。