バイクに乗っていると、ドライブチェーンが意外と錆びやすいことに気づきます。
洗車後や雨天走行後などは、気が付いたら錆が出ていると言う事も良くある話です。
「錆が出ているチェーンはそのままでも平気なの?」
と思う人も居るでしょうし、
「チェーンの錆の落とし方は?」
「錆びないようにするにはどうしたら良いの?」
など疑問に思う人も多いかもしれません
そのため、ここでは
などについて詳しく解説しています。
バイクのチェーンは錆びていても平気なの?
ドライブチェーンは金属でできているので、バイクの中でも錆びやすいパーツと言えます。
錆が出ていると、見た目も良くありませんよね。
ただ、より気になるのが性能面。
エンジンの動力をタイヤに伝える部品ですので、錆びていても問題がないのか気になると言う人も多いでしょう。
結論から言うと、錆自体は大きな問題ではないとも言えます。
ただ、現在の主流であるシールチェーンの場合、錆がチェーンの一部であるOリング(シールリング)にダメージを与える事があります。
Oリングはチェーンの潤滑を良くするためのグリスを封入している大事なパーツです。
そのため、結果的には錆びを放置しておくと、チェーンの寿命を縮めてしまう可能性は大いにあると言う事です。
また、錆がより進むことで、ひどい腐食の原因にもなりかねません。
チェーンに錆が出たことで、緊急を要することはありませんが、錆びたまま放置しておく事はあまり良くないと言う事です。
定期的な清掃(錆落とし)や、注油のメンテナンスをすることが必要と言う訳ですね。
シールチェーンとノンシールチェーン
先ほど、シールチェーンのOリングの話が出たので、バイクのチェーンについて補足しておきます。
バイクのチェーンには
の2種類があります。
シールチェーンは、チェーンのピンとブッシュと言う部分の潤滑を良くするためにグリスを入れ、「Oリング(シールリング)」で蓋をしている仕組み。
チェーンの隙間を良く見ると、シールチェーンはゴムのパッキンのようなものが付いています。
これがOリング(シールリング)です。
250㏄以上のバイクの多くは、シールチェーンが使われていると思います。
逆に、レース車両やミニバイクなどではノンシールを使う事が多いです。
それぞれの一般的な特徴は以下の通り。
シールチェーン | ノンシールチェーン |
寿命が長い メンテの頻度が少ない 高価 ノンシールより重い フリクションロス(抵抗)が大きい | 寿命が短い メンテの頻度が多い 安価 シールチェーンより軽い フリクションロス(抵抗)が少ない |
なお、ノンシールチェーンでも錆びを放置しておくことは良くありません。
逆に潤滑を良くするためのグリス、シールがないので、こまめな注油などのメンテが必要になります。
バイクのチェーンの錆の落とし方
では、実際にチェーンの錆を落とすときの手順についてです。
チェーンの錆を落とすときは2つの箇所に分けて行います。
です。
チェーンのローラー部分の錆落とし
チェーンのローラー部分(スプロケットの歯と接触する部分)は意外と錆びにくい部分でもあります。
これは、走っているうちに錆が削れて行くためです。
そのため、多少の錆が出ていても、バイクを走らせているうちに綺麗になってしまう事がほとんどです。
とは言え、錆が全く出ないと言う訳ではありませんし、気になると言う場合もあるでしょう。
ローラー部分の錆を落とす時には、
という手順です。
ローラーの部分は、専用クリーナーを付けて拭き取るだけでも綺麗になります。ローラーが錆びていると言うよりも、摩耗して削れた金属粉が錆びて付着していると言うケースも多いのです。
なかなか綺麗にならない時には、ナイロンブラシでこすっても良いでしょう。
ここで注意が必要なのは、
と言う事です。
CRC(KURE-556)などは、錆止め錆落としのイメージがあるかもしれませんが、シールチェーンの場合にはゴム製のシールリングを痛めたり変形させてしまう恐れがあります
ノンシールチェーンであれば、パーツクリーナーでも問題はありません。
また、金属系のワイヤーブラシでこすると、同じくシールリングを傷つけてしまう事があるためです。ナイロン系のブラシを使うようにします。
シールがダメになると、中に封入してあるグリスが出てしまい、チェーンの寿命を縮めることになります。
また、センタースタンドがないバイクの場合には、後輪を回すことができないので少しづつバイクの位置をずらしていくしかありません。
ただ、このような場合には後輪を浮かすことができる「メンテナンス用のスタンド」があると便利です。
関連記事≫バイクのメンテナンススタンド!おすすめや使い方を紹介!
メンテナンススタンドはピンキリですが、あまり費用を掛けたくない場合には、デイトナのローラースタンドがおすすめです。
サイドスタンドしかなくても、その場で後輪を回すことができる優れものです。
チェーンの側面の錆を落とす方法
チェーンの側面の錆を落としたい場合には、
と言う手順です。
側面の錆を落とすには、真鍮ブラシを使うと良いでしょう。
ただ、真鍮で柔らかめですが、金属です。シールチェーンの場合にはシールを傷つけないように、側面だけにあてるようにするのがポイントです。
真鍮ブラシは、何かと使う機会も多いので一本持っていると便利です。
ちなみに、メッキ加工がされているチェーンの場合には、メッキがはがれる可能性もあるので金属系のブラシは使わない方が良いでしょう。
また、同じくシールチェーンの場合には専用のクリーナーを使うようにします。
錆を取った後には注油をしておく
チェーンの錆を取った後には、しっかりと注油をしておくことも重要です。
チェーンの油分をキープしておくことで、潤滑、シールの保護ができ、チェーンの寿命を延ばすことにも繋がります。
関連記事≫バイクのチェーンの注油と清掃の方法
バイクのチェーンの錆を防止する方法
チェーンは錆びやすいので、気が付くと錆が出ていると言う事もあります。
完全に錆を出さない方法は無いにしろ、できるだけ錆を防ぐためにはどうしたら良いのでしょうか。
定期的なチェーンの清掃や注油をする
地味ですが、これが一番効果的です。
大体、バイクのチェーンの場合は、走行500~1,000kmごとが注油の目安と言われています。
もちろん、きっちり500~1,000kmでも問題ないですが、雨の日に走ったあとや、洗車後、チェーンの油膜が弱くなってきたと感じた時には、清掃&注油のメンテナンスをすることで、錆の発生を極力おさえる事ができます。
ゴールドチェーンなど錆びにくいチェーンを選ぶ
ゴールドチェーンなどをはじめ、メッキ加工がされているチェーンは、そもそも錆びにくいチェーンです。
そのため、メッキ加工がされているチェーンを選ぶのもひとつの方法。
メッキ加工がされているチェーンはシルバーメッキやブラックメッキなど、いくつかの種類があります。
もちろん、絶対に錆びないことはありませんが、ゴールドチェーンは2度のメッキ加工がされているため、特に錆にくいと言われています。
※メッキが剥げた個所や、非メッキ箇所から錆が出ることもあります。
保管時にはきちんとバイクカバーをする
錆の大敵は雨や湿気。
乗らない時には、しっかりとバイクにカバーを掛けて、雨や夜露からバイクを守ることも大事です
関連記事≫バイクカバーのおすすめと選び方
バイクのチェーンの寿命と症状は?
チェーンに錆が多く出てしますと、新品への交換を考える人も多いようです。
ただ、チェーンの交換時期は錆とはあまり関係がないとも言えます。
前述のとおり、バイクのドライブチェーンは錆びやすいパーツのひとつ。
そのため、性能的に問題がない場合でも、雨天時の走行や洗車後には錆が出やすいものです。
また、しばらく乗らなかった時にも、チェーンが錆びていたと言うのも良くあるケース。
そのため、まずは、錆落としや清掃などのメンテナンスをしてみると良いでしょう。
バイクのチェーンの寿命は、一般的には
と言われています。
ただ、ドライブチェーンの場合には、走行距離よりもチェーンの状態で判断する方が良いでしょう。
具体的に、チェーンの寿命を判断する症状としては
などがあげられます。
このような症状があるときには、チェーンに錆が出ていなくても交換をする時期に来ていると言えます。
また、錆が出ていると、上記の症状を加速する要因にもなり得ることは把握しておくと良いでしょう。
関連記事≫バイクのチェーン交換にかかる費用・工賃の相場はいくらくらい?
チェーンの張り(遊び)はどれくらい?
チェーンの遊びについて補足しておきましょう。
バイクのチェーンの「張り」には適度な「たわみ(遊び)」が必要です。
チェーンが上下に振れる幅が25㎜~35㎜ほどが適正です。
ただ、走行しているうちに、この幅が大きくなってくるはずです。
よく、チェーンが伸びたと言いますが、厳密には伸びたわけではありません。
チェーンは、走っているうちに、チェーンのピンとブッシュの穴が摩耗して削れます。
削れた分、隙間ができてガタガタになるのです。
つまり、隙間ができた分、たるみが大きくなって「伸びた」ように見えると言う訳ですね。
たるみが大きくなった場合には、アジャスターで調整ができるのですが、調整しても適正な張りを維持できなくなった時には寿命なので、交換した方が良いと言う事です。
まとめ
バイクのチェーンはエンジンが生み出す動力を、タイヤに伝える重要なパーツです。
また、錆が出やすいパーツで、多少の錆なら緊急性を要しないとも言えますが、放置しておくのは良くありません。
定期的にメンテナンスをしたり、チェーンの状態をチェックする事をおススメします。
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