水冷エンジンのバイクは、冷却水(クーラント)を使ってエンジンを冷やしています。
このクーラントですが、関連するパーツの劣化や損傷によって液漏れをすることもあります。
ふと気づいたら、バイクから液漏れがしている・・・。
こんな時は少し焦りますよね。
ここでは、
などについて解説しています。
バイクのクーラント漏れの症状とは
バイクのクーラント漏れですが、
と言うケースがあると思います。
まずは、クーラント漏れを判断する症状について説明しましょう。
クーラント液は、エンジンオイルや他の液体と見分けが付きやすいように、色付けされています。
具体的には、緑、青、ピンク色をしてるのが一般的。
そのため、バイクから上記の色をした液体が漏れているのが確認できれば、間違いなくクーラント漏れと判断できます。
また、走行中に液漏れをすることにより、蒸気(湯気)が上がる事があります。
漏れた液が、高温のマフラー(エキパイ)などに付着して蒸気が上がると言うケースですね。
エンジンオイルなどが漏れて蒸気が上がる事もあるのですが、漏れている液がクーラントの場合、蒸気に独特の甘い匂いがします。
そのため、
このような時には、クーラント漏れの可能性が高いと言えます。
それから、停車していたバイクの下に、何かしらの液漏れの跡が残っている場合。
このような時も、オイル漏れという可能性もあります。
ただ、前述のとおりクーラントは色付きの液です。漏れている液体がクーラント液と同じ色なのが判断できれば、クーラント漏れです。
また、クーラントの場合は、蒸発後に白い跡になります。
ラジエーターやクーラントのリザーブタンク周辺に、白い液体が蒸発した後があれば、クーラント漏れの可能性が高いと言えるでしょう。
クーラント漏れを起こした時の対処法
バイクから、冷却水(クーラント)が漏れているのを発見した時には、どうしたら良いのでしょうか。
そのまま放置しておくと、
と言うことになりますので、修理をして冷却水(クーラント)の漏れを止める必要があります。
関連記事≫バイクのオーバーヒートの原因や症状は?夏の渋滞には特に注意!
関連記事≫バイクのエンジンの焼き付きとは?前兆や症状、修理費用を解説
ただ、漏れの程度がひどくなければ、そのまま走行していても影響が少ないケースもあります。
例えば、
と言うような状況であれば、緊急を要するような状態ではないと言えます。
とは言え、漏れている状態には変わりませんし、劣化(損傷)状況が進行すれば大きなトラブルにも繋がりかねません。
そのため、クーラント漏れを発見した時には、できるだけ早く修理するのが基本です。
一方で、
というようなケースは、早急な修理とクーラント液の交換が必要となります。
応急処置で水を入れても平気?
もし、クーラントの漏れを発見した時に、
と言うような場合には、水道水を入れることで応急処置になります。
ただ、クーラントには
などが含まれています。
そのため、あくまでも「バイク屋へ修理に持って行くまでの走行」や「ツーリング先での応急処置」として、その場を凌げたらクーラントの交換をするようにしましょう。
関連記事≫バイクの冷却水(クーラント)交換!時期や工賃・方法を解説
クーラント漏れの主な原因と修理費用
バイクの水冷エンジンは、クーラント液がエンジンを循環して冷却をしています。
エンジンの熱を吸収したクーラントが、ラジエーターで放熱しているという仕組みですね。
※詳しくは下記の記事でまとめていますので、参考にしてみて下さい。
関連記事≫バイクの水冷エンジンやラジエーターの仕組みをわかりやすく解説!
そのため、クーラント漏れの原因になる箇所も複数あると言うわけです。
ここでは、クーラント漏れの主な原因と、その修理費用について解説します。
ホースのつなぎ目からのクーラント漏れ
クーラント液は、ラジエーターやエンジン、リザーブタンク等を循環しています。
このウォーターラインのつなぎ目からクーラント液が漏れると言うのは良くあるケースです。
原因としては、
などが挙げられます。
ホースを止めているホースバンドが緩んでいるだけであれば、締め直すだけで解決する場合もあります。
ただ、ホース自体に経年劣化で亀裂が入ったりすることもあります。
ホースに亀裂や損傷があれば、交換が必要になります。
ホース自体は、それほど高価な部品ではありませんが、修理する場合には
の費用が掛かるのが一般的です。
クーラントの交換やクーラント漏れの修理は、車種によってはタンクやカウル脱着が必要なバイクもあります。
これは修理全般に言える事ですが、修理やメンテナンスでタンクやカウルの脱着が必要になる車種は、基本的に工賃が高くなる傾向にあります。
リザーブタンクの劣化・損傷によるクーラント漏れ
クーラント(冷却水)にはリザーブタンクと言うものがあります。
リザーブタンクは冷却水の貯水池のような役割があり、
と言うような役目ですね。
リザーブタンクは、だいたい乳白色のタンクでクーラントの色(残量)が確認できるようになっています。
通常は樹脂製のタンクになっているので、経年劣化でヒビや割れが発生する事もあります。
このリザーブタンクの劣化や損傷がクーラント漏れを起こすと言うわけですね
修理には、リザーブタンクの交換が必要になります。
修理費用としては
が相場でしょう。
リザーブタンクの交換工賃は、車種によってかなりの差があると言えます。
それほど部品の脱着が必要ない、手間なく簡単に交換できる車種もあります。
一方で、フルカウル車やビックスクーターなどは手間が掛かるので、工賃も高くなりがちです。
また、リザーブタンクに亀裂や損傷が無くても、リザーブタンク周辺やタンクから出ているホースからクーラント漏れがある場合には、後述のラジエーターキャップの劣化や、クーラントの入れ過ぎの可能性があります。
ラジエーターキャップの劣化によるクーラント漏れ
エンジンの熱を吸収したクーラント液の放熱を行うのがラジエーター。
ラジエーターにはラジエーターキャップが付いていますが、「蓋」の役割だけでなく「冷却経路の圧力を調整する」という重要な役割があります。
少し前にも触れましたが、圧力が高くなるとクーラント液をリザーブタンクに逃がしたり、低くなればクーラント液をリザーブタンクから補充する「圧力弁」が付いていると言うわけです。
そのため、このラジエーターキャップ劣化が原因でもクーラント漏れが発生します。
ラジエーターキャップの劣化の場合、2パターンのクーラント漏れが起こります。
前者はそのままで、劣化によりしっかりと蓋ができていないと言うことですね。
一方、後者の場合には、冷却経路の圧力調整がうまくできなくなってしまいます。
その結果、リザーブタンクに逆流したクーラント液が、オーバーフローして漏れてしまうと言うケースです。
修理としては、ラジエーターキャップの交換だけで済みます。
キャップ代は1,000円~1,500円程度。
工賃は、ラジエターキャップがすぐ交換できるようなバイクであれば、特に掛からないケースも。(キャップを取り換えるだけなので)
ただ、これも同じく、カウルやタンク脱着が必要だと、作業工賃として5,000円~10,000円程か掛かる事もあります。
クーラント液の入れ過ぎによるオーバーフロー
クーラント液の交換や補充をした時に、「入れ過ぎ」で漏れる事もあります。
リザーブタンクには、クーラントの適量を示す「FULL」「Low」のラインがあります。
このラインの範囲内にクーラント液面が来ていれば適量です。
エンジンが高温になってくると、冷却経路内の圧力が高くなります。
高くなった圧力を逃がすために、ラジエーターキャップの圧力弁が機能して、リザーブタンクにクーラントを戻すのです。
この時、FULLレベルを超えるようなクーラント液が入っていると、オーバーフローして漏れてしまうと言うことですね。
もし、入れすぎているようであれば、余分なクーラントを抜いて様子を見てみましょう。
ウォーターポンプやその周辺のシール類の劣化
クーラント液は、エンジンを循環しつつ熱の吸収・放熱を繰り返しているのですが、クーラントを循環されているのが「ウォーターポンプ」という部品。
このウォーターポンプにはいくつかのシール(パッキン)類が使われていますが、これらの劣化によりクーラントが漏れる事もあります。
シール類の交換で済む場合もありますが、ほとんどの場合はASSY(アッセンブリー、周辺の一式パーツセット)交換をするのが一般的です。
この場合には、車種にも拠りますが
と少々費用が掛かるケースが多いです。
この手の作業になると、バイクの種類や交換部品によって、費用の差がかなり大きくなります。
そのため、事前にショップに確認してみることをおススメします。
まとめ
たまに、「クーラント漏れなんて、少しくらいなら補充しながら走れば大丈夫!」という人も居ます。
たしかに、応急処置としては平気なケースもあるでしょう。
ただ、クーラント液の漏れは、状態によっては重大な故障の原因にもなります。
そのため、漏れを発見した場合には、できるだけ早く修理するようにしましょう。
また、クーラント交換は2~3年に一度くらいで良いとされています。
とは言え、定期的にリザーブタンクの残量を確認するなど、点検は定期的に行う事をおススメします。
関連記事≫バイクのクーラント(冷却水)のおすすめは?車用でも平気?