バイクを中古で購入しようとする時には、「できるだけ程度(状態)の良いバイクが欲しい」と思うのは当然です。
とは言え、程度の良し悪しを判断するのは、けっこう難しいものですよね。
外装(見た目)だけであれば、綺麗かどうか、錆が多いか少ないか。また、塗装面に傷が無いかなどをチェックすれば何となくわかります。
ただ、見た目が綺麗でも、中身(エンジンやその他機能面)に問題があるバイクも少なくありません。
このようなバイクを買ってしまうと、購入後すぐに調子が悪くなると言うこともあるかも知れません。
そもそも、どこをチェックして判断すれば良いのかわからないと言う人も多いと思います。
そのため、ここでは
などについて解説しています。
中古のバイクを購入しようとしている人は、是非参考にしてみて下さい。
中古バイクを買う時にチェックするポイント
中古のバイクを買う時に、パッと見て綺麗かどうかは、比較的簡単に判断できるでしょう。
カウルや外装に目立つ傷が無く、メッキ部分の錆や塗装の色褪せが無く、そして洗車されていて埃や泥・油汚れが落ちていれば、綺麗に見えますよね。
もちろん、外装の綺麗さもバイクを買う時にはポイントになると思います。
ただ、本当に重要なのは機関的な「中身」と言えます。
なぜなら、きちんと性能を発揮できて安全に乗れることが、見た目の綺麗さよりも重要だからです。
本来であれば、法定点検でチェックする項目を全部チェックすると良いのですが・・・なかなかそこまでは難しいのではないかと思います。
そのため、「最低限」チェックしておくと良いポイントについてまとめています。
関連記事≫バイクの法定点検は自分でやっても良い?点検整備記録簿の書き方は?
①フロントフォーク
フロントフォークは、まず曲がっていないか、歪んでいないかをチェックしましょう。
もし、フォークが曲がっていたり歪んでいたら、事故車の場合が多いです。
そのため、そのまま売られているようなケースは少ないと思いますが、もしそうであれば絶対に購入はやめましょう。
また、フォークが沈む摺動部に錆が出ていないかもチェックポイントです。
摺動部に錆が出ているとフォークのシールが痛んでオイル漏れにつながります。
また、そもそもフォークのシールが痛んでいないかも重要です
バイクに跨って、しっかりフロントが沈むか、沈んで戻ってくるかも確認しましょう。
関連記事≫フロントフォークの錆の落とし方と防止法!放置すると手遅れに!
関連記事≫フロントフォークのオイル漏れ!修理の方法や費用について解説
②ガソリンタンク
タンクで重要なのは、傷ではなくタンク内の錆です。
見た目が綺麗なタンクでも、タンク内がサビているとキャブや燃料コックの詰まりに繋がります。
キャブやコックの詰まりが起きると、エンジンの始動性が悪くなったりアイドリングの不具合、エンストなどに繋がると言うわけですね。
関連記事≫走行中にバイクがエンストした!考えられる7つの原因とは?
③チェーン&スプロケット
バイクのチェーンはある程度の遊び(たわみ)が必要です。
ただ、適正な遊びの範囲を超えていると、逆に危険な状態と言えます。
ある程度はアジャスターで調整ができるのですが、必要以上に緩んでいないかは確認しておきましょう。
また、錆や固着、摩耗の具合もチェックします。
チェーンは錆が出やすい場所のひとつです。
錆びは落とすこともできるのですが、固着(硬直)していて波打っているチェーンは寿命とも言えます。
関連記事≫バイクのチェーンは錆びていても平気?錆落としの方法と防止法
また、同じようにスプロケットも摩耗具合をチェックします。
山が欠けていたり、尖っている状態では交換時期です。
関連記事≫バイクのスプロケットの交換時期と工賃(費用)はどれくらい?
④タイヤ
タイヤは、溝の残りはもちろんですが、ひび割れが無いかもチェックしましょう。
溝が充分残っていても、ひび割れが発生しているようですと古いタイヤでゴムが硬化しています。
バイクの場合、タイヤは非常に重要なパーツのひとつです。
転倒リスクに直結しますので、しっかりと確認をするようにしましょう。
また、片方だけ不自然に減っているような片減りをしている場合は車体が歪んでいる可能性があるので避けた方が賢明です。
関連記事≫バイクのタイヤがひび割れしていても大丈夫?早めに交換しましょう!
関連記事≫バイクのタイヤ空気圧!適正値や入れ方・頻度を詳しく解説!
⑤リアサスペンション
リアサスは、まずダンパーが抜けていないかをチェックします。
跨ってみたり、シートを押す感じで体重を掛けてみて、フワフワするようだとダンパーが抜けている可能性があります。
それから、錆やオイル漏れがないかもチェックします。
⑥フレーム
事故車で良くある、フレーム全体のゆがみを判断するのは、なかなか難しいものです。
そのため、最低限
と言う2つを確認すると良いでしょう。
特にチェックしやすいのはネックの部分。
事故などがあると、フレーム(特にネック)の部分にダメージを受けやすい構造になっています。
ハンドルストッパーも含め、ここに修復の跡があると事故や走行中の転倒歴の疑いがあるというわけですね。
⑦ブレーキ
ブレーキも非常に重要な箇所のひとつですね。
正常に作動するか、ブレーキ時に異音が無いか、ブレーキパッドの残りがどれくらいあるか等をチェックします。
また、ブレーキローターやドラムブレーキ場合はロッドに傷や錆が無いかなどもチェックしましょう。
ブレーキ液の量や汚れも見れるなら尚良いでしょう。
関連記事≫バイクのブレーキパッドの交換時期はいつ?費用(工賃)の目安も解説
関連記事≫バイクのブレーキ異音の原因は?キーキー、ゴーゴー音の対処法!
⑧電気系
電気系は、非常に複雑なので細かくチェックするのは難しい場所でもあります。
特に、最近のバイクは電子制御の比率も多く専用の機器が無いと判別できないケースもあります。
ただ、ウインカー、ブレーキランプ、ヘッドライト、メーターランプ等が正常に作動するかは簡単にチェックできると思います。
また、バッテリーの能力状態もチェックできるとベストです。
電圧チェックをするのが一番正確なのですが、電圧が見れない場合には、端子に錆が出ていたり粉が吹いてないかチェックします。
関連記事≫バイクのバッテリーの寿命は何年?症状と判断する方法!
関連記事≫バイクのウインカーが点滅しない(点かない)時の原因と対処法
⑨エンジン
エンジンのチェックは、ガラガラという異音が無いか、オイル漏れなどが無いか、また、セルスターターでスムーズにエンジンが掛かるかをチェックします。
バイクに詳しくない場合は、「異音」を判断するのは難しいとも言えます。
ただ、「ガラガラ」と言うような音や、タペット音と呼ばれる「カチカチ」音がする場合には気を付けた方が良いでしょう。
関連記事≫タペット音とは?バイクのエンジンからカチカチ音がしたら注意!
また、エンジンからオイル漏れが見られる場合には、放置しておくと大きな故障の原因にもなります。
音だけでなく、オイル漏れもチェックしておきましょう。
関連記事≫バイクのオイル漏れの原因と対処法!放置するとどうなる?
それから、全くセルが回らない場合は、エンジンではなくバッテリーなどその他に問題があると思われます。
関連記事≫バイクのセルが回らない時の原因とチェックポイントを解説
⑩走行距離
走行距離は、「少ないか多いかではなく、正しいかどうか」をチェックします。
メーター表示が実際の走行距離と異なっていたり、故意的に改ざん(巻き戻し)されているケースがあると言うことですね。
走行距離が少ないバイクであるにも関わらず、ステップのゴムが極端にすり減っていたり、メーターが交換されていないか不自然な点が無いかチェックします。
また、走行距離の目安などについては、以下の記事も参考にしてみて下さい。
関連記事≫中古バイクの走行距離の目安とあまりアテにならない理由
最も重要なチェックポイントは安全に関わる部分
サビもなく、メッキ部分はピカピカで、外装に傷が無ければ、バイクの状態は良く見えてしまうものです。
しかしながら、本当に重要なのは、走行や停止に伴う機能面でのチェックです。
どんなに見た目が綺麗でも、ブレーキの利きが悪かったり、まっすぐ走らなかったり、タイヤがツルツルであったりしては非常に危険です。
極端な話になりますが、どんなに見た目がボロくても機能面がしっかりと整備されているバイクの方がよっぽど良いバイクです。
バイクの事故は命にかかわります。
安全に乗れるバイクが一番だという事を忘れないようにしましょう。
できれば現車を確認する方が良い
また、重要なのは、実際に現車をチェックすること。
仮に、バイクの知識があまりない方であれば、経験のある友人などにも見てもらうのも良いでしょう。
また、ショップのスタッフにも、気になる点があったら遠慮なく聞いてみると良いでしょう。
高額な買い物になりますので、不安なまま契約をする必要はありません。
また、何か質問をしたときにショップスタッフがどのような対応してくれるかで、「良いショップ」かどうかわかることも多いです。
質問に対して、回答をごまかしたり、いかにも面倒そうな対応をするようなショップであれば、そもそも購入ショップも再検討したほうが良いかも知れません。
車両価格だけで安いと決めつけない
中古車のメリットの一つに、安価に購入できるという事があげられるでしょう。
新車よりも当然安いですし、同じ中古車でも価格に差があるのが中古車です。
昨今はインターネットも便利になっていますので、一番安いバイクを探すのは非常に簡単です。
しかしながら、あくまでも「車両価格」が安いという事に過ぎません。
例えば、同じ車種で同じ年式、同じくらいの走行距離のバイクが2台あったとしましょう。
①A車は中古でもショップがきちんと整備して30万円
②B車は現状の販売で25万円
車両価格が安いのはB車ですが、購入後すぐにタイヤ交換が必要になって、チェーンとスプロケも交換が必要になって、その後も頻繁に不具合が出て・・・なんてことになれば初期の5万円なんてあっという間に逆転してしまいます。
中古車は購入時に状態によって、その後のメンテナンス費用にも大きく差が出てきます。
見た目だけの「車両価格」で判断すると思わぬ「高い買い物」になることも少なくありません。
完璧を求めるなら新車を選ぶべき
中古のバイクを購入するにあたり、チェックすべき主要なポイントをまとめました。
他にも、細かい点まであげればまだまだいくらでも出てくるでしょう。
しかしながら、中古車を購入する以上は、あくまでも中古という認識は持っておくべきでしょう。
仮に新車を100点とするならば、中古で100点に達する事はあり得ないのです。
あとは、80点くらいの中古バイクを探すのか、50点くらいで良いのか・・・人それぞれの価値観や使用用途によって変わってくるでしょう。
少なからず、使用されたバイクになりますので、どこかに傷があったり、軽微な錆があったり、消耗品が減っていたりはします。
どこかで消耗、劣化しているから中古車であって新車よりも安価で購入ができるのです。
もし、全てに完璧な状態の中古車が欲しいと思うのであれば、そもそも中古ではなく、新車購入をすることをおススメします。
まとめ:できれば現車を確認して安全面を中心にチェック
中古車を購入する場合、予算的な事情があったり、使用する用途で中古車の方が適していたり・・・もしかしたら、欲しいバイクの生産が終了していて新車が手に入らない場合など、さまざまなケースがあると思います。
いずれにせよ、せっかく購入するバイクですから、納得の一台を手に入れられるに越したことはありません。
中古バイクでも、本当に良い出会いになる事も多いです。
ただ、「外れバイク」にあたらないためには、できる限り現車をチェックする事、また、安全面のチェックは怠らない事をおすすめします。
※2020年5月に更新しました。